英国ロンドンに本拠を置き、グローバルな債券投資に特化したファンドマネジメント、アドバイザリー会社であるStratton Street Capital。独自の債券投資モデルで高い運用パフォーマンスを誇る。同社のCIOで債券運用戦略の最高責任者を務めるアンディ・シーマン氏、セールス&ビジネスデベロップメントヘッドを務めるベンジャミン・デイ・カイア氏にインタビューを行った。聞き手は、香港の新しい金融機関であるニッポン・ウエルス・リミテッド(NWB/日本ウエルス)のシニア・マネージャーである幾田朋彦氏である。今回は、当社ファンドの運用状況がテーマとなる。

マクロ経済動向の「分析力」が最大の武器

幾田 実際のファンドの運用状況はどうですか?

 

アンディ 「New Capital Wealthy Nations Bond Fund」の3年間の運用成績を見てみましょう。同様のファンドが業界で350本程度ありますが、私たちのファンドは常に上位6ファンドの好成績を保っています。今まで話した理論と私たちのモデルが、どのような市況環境においても、正しい方向にポートフォリオを導いていると言えるでしょう。

 

 

私たちは、大きな資産を運用する大手の運用会社とは色々な意味で異なります。小さいながらも、特化した運用手法と、豊富な人材と独自のモデルを持ち、好成績をあげる努力を惜しみません。

 

ベン 投資対象を投資適格債に限定していることから、私たちのポートフォリオで保有した債券は一度もデフォルトがありません。投資対象国を見ると、アジアや中東にも投資していることから、リスクが高いのではと心配する投資家もいるかもしれませんが、トータルリターンを見ると、いかに安定的なリターンを獲得しているかわかってもらえると思います。

 

アンディ 2013年に、モー二ングスターがグローバル債券セクターのファンドを調査した際、「New Capital Wealthy Nations Bond Fund」の運用成績は最上位でしたが、リスクは3番目に低く、シャープレシオは一番高いという結果が出ました。

 

ベン 前述の通り、私たちの強みの一つはマクロ経済の動向を分析する豊富な経験があり、それがデュレーションと格付けの適切なポジショニングを可能とし、ファンドの好成績に寄与しています。2014年から2015年にかけて多くのファンドマネージャーは、金利上昇を見込んで、デュレーションを縮めました。

 

一方、私たちはデュレーションを7、8年に保ちました。結果、他社を上回る成績を得ました。戦略的にデュレーションを短くするより、より高い格付けの銘柄に投資したのです。この戦略はその後も引き続きファンドの成績に大きく寄与しています。

通貨収益ではなく債券投資のトータルリターンを狙う

幾田 独自の戦略は本当にうまくファンドのリターン獲得につながっているようですね。この理論に従うと、ポートフォリオの入れ替えは頻繁に行わなくてはいけないのですか?


ベン ポートフォリオの銘柄入れ替えという点では、それほどアクティブでなく、年間25%程度です。ポートフォリオのポジショニングは、徐々に行います。前回の金融危機から脱却となった一つのサイクルのピークは2010年の半ばでした。それ以降、高い格付けへの銘柄の移行を今でも行っています。

 

 

幾田 為替の運用はどのように行っているのですか?

 

アンディ 「New Capital Wealthy Nations Bond Fund」では通貨収益を狙っていません。ハードカーレンシー(米ドルやユーロのような国際決済通貨)建ての債券にのみに投資しています。今は米ドルが99%をしめています。とは言っても、投資家は世界各国にいて、それぞれの通貨での投資が可能である方がよいと理解しています。ですから、各ファンドにユーロ建て、日本円建てといった通貨別のクラスを設定しています。
 

本稿は、情報提供を目的として、インタビュー時点での経済データ等をもとに個人的な見解を述べたもので、Stratton Street Capital およびNWBとしての公式見解ではありません。また、特定の金融商品への投資の勧誘を目的とするものではありません。

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