「共同親権」と養育費履行確保の深い関係性
注目すべきは、今話題とされている「共同親権」の問題が、養育費の支払い確保と絡めてされていること。
現在の「単独親権制度」の元では、一方の親にしか親権がゆかない状態のため、親権者でない親からは「親権をもらえないなら支払えないし、支払いたくない」という意見があるので、「養育費の不払いが進んでいるのではないか?」「共同親権になったら、両方の親に権利と責任があるから、養育費の支払いを義務だと感じやすくなるのではないか?」というのです。
私たち弁護士が離婚相談を受けるなかでも、「子どものことは大好きで、なんでもしてやりたいと思っていますが、子どもを引き取れない(親権がない)なら、何にも支払いたくない」という方がいらっしゃるのは事実。
ただ、こういった方はごく一部。社会の潮流として、父母双方に親権を残せば、子と暮らしていない方の親もちゃんと責任を感じて養育費を必ず支払うようになるのかは分かりません。
共同親権の議論は、親の権利と義務を両方に持たせようとする発想からきているもの。
その背景には「女性の社会進出をさらに促進し、経済全体を盛り立てていこう」という施策も見え隠れするようです。
水谷 江利
世田谷用賀法律事務所 弁護士
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