起業をしたなら「いつか上場できるくらい、大きな会社にしたい」と多くの経営者が思っていることでしょう。本連載では、IPO・上場支援で数多くの実績をあげている株式会社タスク代表取締役の竹山徹弥氏がIPOの基本や必須事項、会社上場にまつわる裏話など解説していきます。今回は、IPOにおける資金調達、そしてIPOを目指す経営者のマインドについて見ていきます。

経営者の「自信と信念」がIPOを目指す重要な起点

IPOを志向する企業は、まずどの時期にIPOをできるのか、を検討します。そのバロメーターとなるのが、社長の頭の中にある今後3ヵ年のざっくりとした事業計画です。IPO業界では、上場を予定している事業年度を「n」とし、その前期を「n-1」、前々期を「n-2」などと表現します。


いろいろなケースがありますが「n-2」を意識し始めるのは、社長が業績に自信を持てたタイミングが多いような気がします。筆者も職業柄その時期の社長に会うことが通常ですが、ほとんどの社長はバラ色の計画を「自信と信念」をもって説明します。

 

業績や事業計画に対する厳しい上場審査をクリアし上場後も継続できる企業のみがIPOを実現できますが、まずはこの「自信と信念」が重要な起点となるわけです。

 

当然ながら経営者に「自信と信念」があっても、すべての会社がIPOを実現できるわけではありませんが、仮になければIPOを本気で考える機会も訪れないはずです。そのような意味で、眼をキラキラさせた経営者達がこの時期に自覚する「自信と信念」こそが、我が国IPOマーケットの原動力となっているといえるでしょう。

IPOの意思を明確にして専門家に相談することが重要

IPOの最大のメリットである資金調達に甚大な影響を及ぼしたリーマンショックなどの突発事象はさておき、「IPOに向けたプロジェクト」を旗揚げする際の注意事項には、次のようなことがあります。

 

● 中止による社内への影響(従業員のモチベーション低下など)
● それまでの労力が無駄になる

 

そのため、断念することが難しいプロジェクトであるという点が挙げられます。そこで、IPOを志向する企業にとって重要となるのは、まずIPOのメリットや上場会社の責任は何かを十分に理解した上で、

 

● いつIPOしたいのか
● 成長可能性はあるか
● 固有の課題があればクリアできそうか

 

などを専門家(監査法人、証券会社、IPOコンサルティング会社など)に率直に相談することです。その後、監査法人のショートレビューを受けIPOに向けた課題などが抽出され、準備が本格的にスタートします。

「スケジュール」や「To Do」を理解することが重要

IPOへの意向が固まったら、次に重要となるのが、スケジュールやTo Doを理解することです。以下の[図表]にIPOまでの一般的なスケジュールとそれぞれの期におけるTo Doを記載しておきます。

 

[図表]IPOまでの一般的なスケジュール

 

このスケジュールを管理することはIPOを実現する上で非常に重要な要素(IPOの生命線)となるので、把握しておきましょう。

 

 

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