配偶者と子供による相続を「一次相続」、そして一次相続後、残された配偶者の死亡に伴う子供による相続を「二次相続」といいます。どちらも万全の対策を行わないと、泥沼の「争続」に発展しかねません。そこで本記事では、税理士の廣田龍介氏が、実際に携わった相続争いの事例を紹介します。

法の下には平等。とはいえ長男と次男の間には…

なぜ、現代では権利ばかりを主張するようになってしまうのか。一概に言えることではないかもしれませんが、私は、核家族化が進み、一緒に暮らさないことで家族との絆を深める機会が少なくなったのが一因ではないかと考えています。

 

家族との関係性が薄いままでいることが、相続で問題を引き起こしてしまいます。ますます家族の絆が必要な時代が来ているといえるのではないでしょうか。

 

◆「親と同居しているかどうか」が鍵になるケースも

 

権利の主張でわかりやすいのは、法定相続分です。法定相続通りの取り分をもらう権利を主張する相続人が出てきて、そのためにもめてしまうのです。

 

相続が生じた場合、民法により法定相続分が規定されています。法律による平等の割合ということになります。

 

法定相続というと「財産を相続人で割って、平等に相続する」というイメージを持っている方も多いのではないかと思います。確かに財産を均等に割るような制度ですので、それを頼りにする相続人がいても不思議ではありません。しかし、法定相続とは本当に平等を意味するのでしょうか。ここに一考の余地があると私は考えています。

 

現実的に財産分けを協議して決める時は、一次相続時には親のどちらかは健在です。親には生活基盤である自宅と生活費、収入基盤となる預貯金や賃貸不動産を相続するようにします。子どもたちには、その生活状況や生活環境を考慮した上で、親の目で見た公平、平等の観点で財産を分けます。

 

例えば、自分が親の立場だと仮定して考えてみてください。長男は有名塾の月謝や私立大学の学費などで教育資金がかなりかさんだけれども、次男はそういった経済状況を憂慮し、塾も行かず独学で必死に勉強してお金のかからない国立の大学に見事合格したとします。さて、親の立場から考えて、この息子2人に、法定相続通り平等に財産を分ける気になるでしょうか。

 

これは単純な例です。もちろん教育資金だけではなく、これまでの親子の交流や、結婚資金、自宅購入などで援助した分なども考えられますし、親が高齢化した際に面倒を見てくれたか見てくれていないかなど、実際にはもっとさまざまな要件が関わってきます。しかし、こういうことを考慮しないのが法定相続分です。

 

法の下には平等であっても、親子関係からしたら不平等だということがわかるのではないでしょうか。相続人それぞれの生き方や関わり方で、財産の分け方が違ってくるのは当然です。

 

問題は親のいない二次相続時です。

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相続財産を3代先まで残す方法

相続財産を3代先まで残す方法

廣田 龍介

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢化による老々相続、各々の権利主張、そして重い税負担…。 現代の相続には様々な問題が横たわり、その中で、骨肉の争いで泥沼にハマっていく一族もあれば、全員で一致団結して知恵を出し合い、先祖代々の資産を守っていく…

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