2021年の中国経済見通し

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●実質GDPの成長率は20年が前年比+2.2%、21年は同+8.9%、22年は同+5.5%を予想。

●財政および金融政策は景気刺激型から正常化へ、1年物最優遇貸出金利は据え置きを見込む。

●人民元は対米ドルでまだ上昇余地あり、また中国共産党はバイデン次期米政権でも警戒を継続。

実質GDPの成長率は20年が前年比+2.2%、21年は同+8.9%、22年は同+5.5%を予想

2021年の中国経済は、ハイテク企業の生産増加が続くなか、国内消費の持ち直しも鮮明となり、堅調な推移が予想されます。ワクチンの普及が先進国ほど進まなくても、景気の持ち直しは続くとみていますが、普及が進んだ場合、成長ペースに上振れリスクが生じると考えています。実質GDP成長率は、2020年が前年比+2.2%、2021年は同+8.9%、2022年は同+5.5%を想定しています(図表1)。

 

(注)2020年12月16日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる予想。 (出所)中国国家統計局などのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]中国の実質GDP成長率予想 (注)2020年12月16日時点の三井住友DSアセットマネジメントによる予想。
(出所)中国国家統計局などのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

中国にとって、2021年は①中国共産党100周年、②第14次5ヵ年計画の初年度にあたり、社会の近代化を実現する上で、極めて重要な年となります。2020年12月16日から18日に開催された中央経済工作会議では、2021年の経済運営について、「内需の拡大」、「質の高い成長」、「高度な対外開放の推進」という方針のもと、「経済成長率を合理的な範囲内に収める」考え方が示されました。

財政および金融政策は景気刺激型から正常化へ、1年物最優遇貸出金利は据え置きを見込む

また、同じく中央経済工作会議において、「積極的な財政政策と穏健な金融政策を維持する」方針が確認されました。ただ、財政政策については、質と効率性を高め、持続可能性により注意すべきと言及されていることから、過度に景気支援型の財政政策は、修正されて正常化に向かうと思われ、財政赤字の対GDP比は、2020年の3.6%から、2021年は3.0%以内に戻ると予想します。

 

金融政策については、マクロレバレッジ比率を安定させ、景気回復とリスク防止の間のバランスを適切にとると言及されていることから、金融政策も正常化に向けた動きが進展すると考えられます。中国人民銀行(中央銀行)は、銀行が優良企業に適用する貸出金利の目安となる1年物の最優遇貸出金利(LPR、ローンプライムレート)を毎月公表しており、事実上の政策金利と位置づけられていますが、2021年は3.85%で据え置きが見込まれます。

人民元は対米ドルでまだ上昇余地あり、また中国共産党はバイデン次期米政権でも警戒を継続

人民元に目を向けると、2020年5月27日に1ドル=7.1777元水準をつけましたが、これが2019年9月3日につけた1ドル=7.1876元水準とダブルトップをつけた形になり、その後は2020年末にかけてドル安・元高が進行しました(図表2)。2021年の為替市場では、株高を伴うリスクオンの米ドル安がしばらく続くと思われるため、人民元にはまだ上昇余地があると考えられます。

 

(注)データは2019年1月4日から2020年12月25日。  (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]中国人民元の対米ドル為替レート (注)データは2019年1月4日から2020年12月25日。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

ただ、米国では、景気の回復につれてテーパリングが徐々に意識され、緩やかな長期金利の上昇とともに米ドル高の動きが強まると思われることから、人民元はこの先、2018年3月27日につけた6.2431元水準まで、一気に上昇する公算は小さいとみています。最後に、対米関係について、中国共産党はバイデン次期米政権による制裁関税の巻き戻しはありうるものの、安全保障やハイテク分野での厳しい対応を想定しているとみられます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2021年の中国経済見通し』を参照)。

 

(2020年12月28日)

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

投資情報グループは、運用や調査経験豊富なプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの情報発信を行っています。幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、年間で約800本の金融市場・経済レポートの発行の他、YouTube等の動画、Twitterでの情報発信を行っています。

著者紹介

連載【市川雅浩・チーフマーケットストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!