古来より世界中で親しまれてきた、きのこの一種
中華料理でおなじみのキクラゲは、朽木に寄生するきのこの一種です。しいたけやしめじなどの、一般的にイメージされるきのことは見た目が異なるため、キクラゲがきのこであることを知らない人も意外と多いようです。
キクラゲは「木耳」とも書かれ、中国ではこの表記で知られています。英語圏でもキクラゲは「Jewʼs Ear (ユダヤ人の耳)」と呼ばれており、耳に似ていることからこう名付けられたという説が有力です。
日本では、こりこりした食感がくらげに似ていることが名前の由来とされています。なお、食用としては中国や韓国がおもな産地ですが、キクラゲ自体はヨーロッパの広い範囲で見られます。キクラゲは、中国において1400年以上も前から食用として栽培されていたことが、昔の文献などから推察されています。
当時から、止血や貧血の改善、便秘の改善を促す薬効が知られており、地方によっては今でも、乾燥キクラゲを煮出したものを飲む習慣があるようです。日本には、平安時代に中国から伝わり、今でいう百科事典に相当する書物にキクラゲの記載があることが確認されています。
栄養豊富で、免疫力や代謝のアップも期待できる!?
キクラゲには、β‒グルカンという成分が多く含まれています。これはきのこ特有の高分子多糖体で、免疫機能を担うNK細胞を活性化させたり、NK細胞の増殖を促す「サイトカイン」という物質をつくるなど、免疫力アップを促す作用が注目されている成分です。
また、きのこ類にはビタミンDが豊富に含まれていることがよく知られています。ビタミンDにも免疫力や、細胞の代謝をアップさせる効果があるとされています。キクラゲを積極的に食べれば、β‒グルカンとビタミンDの相乗効果により、免疫力の大幅アップが期待できるというわけです。
また、キクラゲには食物繊維や、鉄分、カリウム、マグネシウムなどのミネラル類の含有率も高いので、これらの補給源としても貴重な食材です。どんなに身体に良い成分が含まれていても、味や匂いが良くなかったりすると、なかなか日々の食事に取り入れにくいものですが、キクラゲはその点、とても使いやすい食材といえます。
何といっても味も匂いもなく、料理で使うほかの食材や調味料の邪魔をしません。中華料理に限らず、いつものおかずにちょっと混ぜるだけで、手軽に食物繊維やミネラルの補給ができるのが特徴です。
また、乾物なので保存がきき、使いたいときに使う分だけ水で戻せばいいというのも便利です。低カロリーなのでダイエット中だったり、何らかの疾患で食事制限をしていたりする人にも、取り入れやすい食材です。