ワクチン実用化の見通しで大幅高
欧米勢ワクチンの有効性は高い
■世界の株式市場は、新型コロナウイルスのワクチンの実用化が近づきつつあることから、11月以降上昇スピードが速まりました。11月9日に、米ファイザーと独ビオンテックが開発したワクチンの有効性が90%超と発表されたことを皮切りに、米モデルナ、英アストラゼネカとオックスフォード大学など、立て続けに高い有効性の発表が相次ぎました。ワクチンの実用化に向けた動きが次々と発表されたことで、コロナ禍から脱却し、経済の正常化に近づくための着実な一歩として、市場のリスク許容度が一段と高まりました。
エネルギー、金融、素材が戻す
情報技術セクターも堅調
■11月以降はこれまで出遅れていた「エネルギー」、「金融」、「素材」の巻き戻しが目立ちます。11月9日から12月7日までの世界株価指数の上昇率が5.3%で、これを上回ったセクターは4つあり、「エネルギー」が16.6%、「金融」が8.5%、「素材」が7.6%、「情報技術」が6.5%でした。経済の正常化を背景として上昇したセクターに加えて、「情報技術」も市場平均を上回っている点が大きな特徴と言えます。
景気拡大を支えるハイテク
■新型コロナの感染拡大によって、ハイテク分野の成長は加速し、中でも「DX」は世界的な潮流となってきました。5Gやブロックチェーンなどの普及に伴い、従来以上にビッグデータが蓄積されると、AI(人工知能)の活用により、顧客のニーズをより正確に把握し、マーケティングなどに生かせるようになると考えられます。広くワクチンが浸透し、新型コロナの感染が収束した後も、企業の「DX」の取り組みは傾向として続き、一層の広がりを持っていく可能性が高いと考えられます。景気拡大をハイテク分野の中心となる「DX」が支える展開が続くと考えられます。DX(デジタル・トランスフォーメーション)は、最新のデジタル技術を駆使した、ビジネスの変革を意味します。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ワクチン実用化にメドが立つ中、値を保つハイテク株』を参照)。
(2020年12月9日)
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