なぜ若者は「自殺」するのか?
コロナ禍で自殺の増加が懸念されていますが、そもそも、日本は先進諸国のなかでも自殺が多いと問題視されてきました。
厚生労働省「自殺対策白書」によると2019年、1年間の自殺者は2万169人、自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は16.0。これは統計開始以来最小の数値で、自殺対策の効果とする見方もありました。
一方で、増加傾向にあるのが若年層の自殺です。自殺数は多くの年代で低下しているものの、20歳未満では1998年以降は横ばいで推移。また自殺死亡率は20歳未満で毎年のようにわずかながら上昇。白書では15~39歳の各年代の死因第1位は自殺であることから、白書では日本において若い世代の自殺が深刻な状況であるとしています。
また文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、学校から報告のあったものに限定しますが、小・中・高校生の自殺は、各年で増減はあるものの、1980年代をピークに減少の傾向にあり、2005年には103人となっていました。しかし以降は上昇トレンドとなっていて、2018年には1979年以来、300人の大台を突破しています(図表1)。
自殺した児童生徒を学年別にみていくと、2019年度は小学校5年生、小学校6年生、各2人から、学年が上がるごとに増えていき、高校3年生では86人にもなっています。
さらに自殺との関連も深い、児童生徒が置かれていた状況をみていくと、不明を除き、高校生で最も多いのが「精神障害」。続いて「家庭不和」、「父母等の叱責」、「えん世(世の中をいやなもの、人生を価値のないものと思うこと)」、「進路問題」と続きます。少なからず、将来の不安がプレッシャーになっていることがうかがえます。
一方でよくニュースをにぎわす「いじめ」は、その数から、想像ほど多くはない、という印象を受けます。確かに複合的な理由から自殺に至ったであろうケースは多く、報道に反して学校側が「自殺の原因はいじめとは言い切れない」と結論付けるのも、このような実態からなのでしょう。
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