趣味仲間に死因贈与しても申告義務が発生してしまう
前回の続きです。十津川社長の場合は骨董品ですが、他にも高級腕時計や高級車、ヨットなどお金のかかる趣味を持っている社長の相続では同じ問題が発生します。
捨ててしまうことはないにしても、価値のわからない妻が相続すると、自分の愛するモノたちがどう扱われてしまうか――と心配になるはずです。趣味の仲間に死因贈与しても、申告義務が発生し妻にはわかってしまいますので、受け取った仲間に迷惑がかかることもあるでしょう。
会社を立ち上げ、骨董品仲間を「共同経営者」にする
この悩みを解決する方法としても有効なのが会社を立ち上げることです。十津川社長のケースなら、骨董品を販売する会社を作り、その会社がコレクションの所有者になるのです。
その上でもしもの時にはその会社の株式を贈与する「死因贈与」の契約を骨董品仲間と交わしておきます。
株式化しておけば、個別に財産を移転するより簡単に移転できます。相続にあたり、妻も「事業に関わること」と会社の事業内容の詳細を調べる可能性は低いでしょう。
相続税の負担が大きくならないよう、骨董品仲間にあらかじめ暦年課税方式の贈与で対応しておくか、株式の評価を下げる対策をとっておく必要があります。株価対策にはいろいろな方法がありますので、税理士に確認して進めましょう。
先々は仲間たちがコレクションを引き継ぎ守ってくれることがわかっていれば、十津川社長も安心してまだまだ趣味を楽しめるでしょう。