景気浮揚を求める声が多い?中小経営者が「菅政権」に望む政策

景気浮揚を求める声が多い?中小経営者が「菅政権」に望む政策

ストライクが実施した中小企業の経営者を対象としたアンケートによると、法人税の減税などを要請する声が多いことが判明。他には、経営者のどんな声が集まっているのだろうか。株式会社ストライク執行役員広報部長の日高広太郎氏が解説する。

規制改革、コロナ対策などの回答も…第三の矢の行方は

菅政権に期待する政策で、減税に続いて多かったのが「規制改革」と「コロナ対策」(いずれも8%)だった。規制緩和は長くその必要性を指摘されてきたが、規制改革と雇用の流動化などを目指した安倍晋三政権の「第三の矢」はなかなか進まなかった。

 

菅首相は河野太郎氏を行政改革・規制改革担当相に任命。行政の縦割りを打破し、規制改革を進める突破口と位置づける「デジタル庁」の創設を目指しており、中小企業からも期待が高まっているようだ。

 

新型コロナウイルスの感染者が国内外で増加していることやコロナ禍での需要低迷などを背景に、対策を求める声も相次いだ。米製薬大手ファイザーが9日に新型コロナウイルスのワクチンで予防に高い有効性を示すデータを発表。菅政権にも経済・医療両面での対策強化への期待の声が出ていた。このほかアンケートでは、助成金の支給(5%)や地方創生(3%)という回答が多かった。

単純な補助金支給に批判…日本の成長促す財政出動を

もっとも、単純な補助金の支給や減税には問題があるという意見も多い。英エコノミスト誌の調査部門のエコノミスト・インテリジェンス・ユニットの予測によると、7~9月期のGDPの規模は米国が17年、英独仏とカナダが16年、日本が12年の水準にとどまる。GDPの水準がコロナ禍前に戻るのも日本はG7の中でイタリアと並び最も遅い。

 

マネックス証券の大槻奈那執行役員チーフ・アナリストは「日本の潜在成長率が低いことが経済の回復力の差に表れている」と指摘。今後の経済対策について「中小企業の成長分野への進出、業態転換や業界再編などによる経営効率化を促すための支援策を打ち出し、日本の構造改革を進める必要がある」と話している。

10月のM&Aは「69件」、3ヵ月連続で減少

10月のM&A件数(適時開示ベース)は前年同月比5件減の69件となり、3カ月連続で前年を下回った。1月からの累計では前年を超えるペースを維持しているものの、足元ではやや停滞している。新型コロナウイルス感染拡大を受けて「緊急事態宣言」が出されたことから、対面で買収価格などの事前調整が難しくなったことが悪影響を及ぼしている可能性がある。前月比では8件増えた。


ホームセンター中堅の島忠を巡って買収合戦に発展する様相となった。業界最大手のDCMホールディングスが島忠にTOB(株式公開買い付け)を始めたが、家具業界首位のニトリホールディングスが参戦の意向を表明した。

 

上場企業に義務付けられる適時開示情報をもとに経営権が移転するM&A(グループ内再編は除く)について、M&A仲介のストライク(M&AOnline)が集計した。

 

月間のM&A件数が前年比で3ヵ月連続してマイナスとなるのは2019年8~10月以来1年ぶり。10月単月を過去10年でみると、今年の69件は3番目で、なお高水準にある。海外案件は15件中、ほぼ半数の売却案件で、不採算の現地事業を切り離す動きが目立った。
10月の取引金額は6505億円。8月、9月と続いた取引金額1兆円を超える超大型M&Aは途切れた。


こうしたなか、金額トップはNECがスイスの大手金融ソフトウエア企業アバロック・グループを買収する案件。金額は約2360億円。NECが強みとする生体認証、AI(人工知能)、ブロックチェーン(分散型台帳)技術などを組み合わせ、世界的規模で進展する金融DX(デジタルトランスフォーメーション)領域での事業強化を狙う。
 

10月の主な発表案件は以下のとおり。


1.NEC、スイスの金融ソフト大手アバロック・グループを買収(2360億円)
2.ニトリホールディングス、島忠の完全子会社化を目的にTOBを開始予定(2142億円)
3.DCMホールディングス、島忠にTOBで完全子会社化(1636億円)
4.アステラス製薬、体内埋め込み型医療機器開発の米iota Biosciencesを子会社化(134億円)
5.アウトソーシング、外国人向け人材サービスのアバンセホールディングス(愛知県知多市)を子会社化(45.6億円)
6.タカラトミー、おもちゃメーカーの米Fat Brain Holdingsを子会社化(43,3億円)
7.アスコット、マンション分譲のTHEグローバル社(東証1部)を子会社化(30億円)

 

日高 広太郎

株式会社ストライク 執行役員 広報部長

 

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