争族、離婚トラブル、労働問題…弁護士事務所には今日も様々な相談が舞い込みます。そこで本連載では、弁護士法人アズバーズ代表の櫻井俊宏氏が、実際に寄せられたトラブル事例を紹介し、具体的な対策を解説します。 ※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

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隣人の迷惑行為…「効く」手段はコレ!

3 賃借人の隣人に対する迷惑行為はどのような場合に違法となるか

 

隣人の迷惑行為で大家から賠償金請求ができるかどうか、迷惑行為が賃貸借契約解除・明渡の事由となるかどうかの判断要素としては、迷惑行為の内容(種類、頻度、時間帯等)、迷惑行為に関係する経緯(賃貸人による注意・警告、他賃借人による苦情、賃借人による改善)、迷惑行為を禁止する旨の契約内容の有無等を総合的に考慮することになります。

 

ただし、明渡事由となるかどうかについては、賃借権というのは基本的に強いので、賃借人の違法行為によって、賃貸人と賃借人の間で信頼関係が完全に破壊された場合のみ解除が認められます(信頼関係破壊の理論)。このことから、契約解除・明渡が認められるのは余程の迷惑行為がなければ認められないということになります。

 

大家の請求が認められた場合には、迷惑行為者の不法行為と損害との間の因果関係が認められて、隣人の立替引っ越し代や監視カメラ代が認められる場合もありえるでしょう。

 

4 最後に

 

本件では、ヤクザの取り立てのようなやり方で、執拗に、しかも妄想かもしれないのに苦情を続けているので、大家からの契約の解除が認められる可能性は十分あると思います。

 

賃貸物件において、隣人が迷惑行為を繰り返す場合には、その者に対して書面等で残る形で警告を繰り返しておくのがよいでしょう。恐怖を感じる場合は、やはり証拠を伴った状態で大家に申告し、大家から警告してもらうことをおすすめします。

 

もし見える形で迷惑行為が行われた場合には、こっそりスマホで動画撮影ができると後々有利な証拠になるでしょう。

 

本件のように、迷惑行為者の前の住居での素行等も、発覚すれば有効な間接証拠になりえます。

 

 

櫻井 俊宏

弁護士法人アズバーズ代表

中央大学法実務カウンセル

 

 

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