米大統領選における州別選挙人の数と激戦州の動向

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●米大統領選では選挙人制度が採用され、選挙人の過半数270人以上を獲得した候補が勝利。

●バイデン氏が追い上げるテキサス州やスイングステートのフロリダ州、そしてラストベルトの州に要注目。

●コーンベルトはトランプ氏の農業政策への評価が焦点、選挙当日はこれら激戦州の動向がカギに。

米大統領選では選挙人制度が採用され、選挙人の過半数270人以上を獲得した候補が勝利

米大統領選では「選挙人制度」が採用されており、各州には人口に応じて「選挙人」が割り当てられます。ほとんどの州で、最も多くの票を獲得した候補が、その州の選挙人全員を獲得する「勝者総取り」方式を採用しており、得票率で選挙人を配分する州は、ネブラスカ州とメーン州の2州のみです。したがって、選挙人が多い州で勝利すれば、選挙に有利となります。

 

選挙人の総数は538人で、このうち過半数の270人以上を獲得した候補が当選となり、2021年1月に大統領に就任します。全米50州について、各州に割り当てられた選挙人の数は図表1の通りです。大票田のカリフォルニア州(55人)、テキサス州(38人)、フロリダ州(29人)、ニューヨーク州(29人)の後に、イリノイ州(20人)、ペンシルベニア州(20人)が続きます。

バイデン氏が追い上げるテキサス州やスイングステートのフロリダ州、そしてラストベルトの州に要注目

ほとんどの州は、伝統的に支持する政党が決まっています。例えば、カリフォルニア州とニューヨーク州は、民主党の牙城とされ、テキサス州は共和党の牙城とされます。そのため、これらの州の注目度は通常、それほど高くありませんが、最近の世論調査では、テキサス州でバイデン候補の支持率が伸びています。仮にトランプ候補が、テキサス州の選挙人38人を獲得できなかったとすれば、敗退は決定的となります。

 

大統領選で注目度が高いのは、民主・共和両党の間で支持が揺れる州、いわゆる「スイングステート」と呼ばれる激戦州です。代表的なのは、選挙人29人を抱えるフロリダ州で、世論調査ではこれまでバイデン氏優勢でしたが、直近ではトランプ氏の支持率がバイデン氏を上回ってきています(図表2)。また、今回は、2016年の大統領選でトランプ氏の勝利を決定づけた「ラストベルト(さびついた工業地帯)」の州に注目が集まっています。

コーンベルトはトランプ氏の農業政策への評価が焦点、選挙当日はこれら激戦州の動向がカギに

ラストベルトとは、米国中西部から北東部に位置する、鉄鋼や石炭、自動車などの主要産業が衰退した工業地帯の呼称で、ペンシルベニア州、オハイオ州、ミシガン州、ウィスコンシン州などが含まれます。2016年の大統領選で、トランプ氏はこの4州で勝利しましたが、2018年の中間選挙での上院選で、共和党は民主党に敗北しています。また、直近の世論調査では、4州のうちトランプ氏が優勢なのはオハイオ州のみです。

 

トランプ氏がラストベルトで苦戦を強いられる見通しのなか、トウモロコシ生産が活発な中西部の「コーンベルト」と呼ばれる地域も注目されています。コーンベルトに含まれる、ミネソタ州やアイオワ州などが、トランプ氏の農産物輸出拡大策をどう評価するかがみどころです。11月3日の大統領選では、選挙結果のカギを握る、これら激戦州の動向が極めて重要となります。

 

(注)選挙人はネブラスカ州とメーン州を除き勝者総取り方式。ネブラスカ州では、5人のうち2人は州全体の勝者が、残りの3人は3つの下院議員選挙区ごとの勝者が獲得。メーン州では、4人のうち2人は州全体の勝者が、残りの2人は2つの下院議員選挙区ごとの勝者が獲得。  (出所)各種資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]全米50州と特別区の選挙人の数 (注)選挙人はネブラスカ州とメーン州を除き勝者総取り方式。ネブラスカ州では、5人のうち2人は州全体の勝者が、残りの3人は3つの下院議員選挙区ごとの勝者が獲得。メーン州では、4人のうち2人は州全体の勝者が、残りの2人は2つの下院議員選挙区ごとの勝者が獲得。
(出所)各種資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注)支持率は2020年10月27日時で公表されている世論調査の平均。  (出所)リアル・クリア・ポリティクスのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]主な激戦州における支持率 (注)支持率は2020年10月27日時で公表されている世論調査の平均。
(出所)リアル・クリア・ポリティクスのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米大統領選における州別選挙人の数と激戦州の動向』を参照)。

 

(2020年10月28日)

 

市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
シニアストラテジスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介

調査部は、総勢25名のプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの高度な分析を行い、それぞれの見通しを策定、社内外に情報発信しています。三井住友DSアセットマネジメントの経済・金融市場分析面での中枢を担っている他、幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、活動する機会や媒体は多岐にわたります。年間で約1,000本の市場レポートを作成し、会社のホームページで公開中(2018年度実績)。

著者紹介

連載【市川雅浩・チーフマーケットストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!