
本連載は、2016年10月9日刊行の書籍『あなたの資産を食い潰す「ブラック相続対策」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
高めの工費設定をごまかそうとしているケースも?
◆要注意トーク1「相続対策だから儲からなくてもいいんです」
「ちゃんと利益を上げていけるか心配なので…」
そんなあなたの不安に対し、
「いやいや、相続対策だから儲からなくていいんです」
と、アパート経営を勧める建築会社の営業マンが答えたとしたら、“眉唾モノ”と判断するべきでしょう。

「収益が上がると、その利益が相続財産になってしまうので、トントンぐらいが一番いいんです」
そう言われて、「どうせ儲かっても、半分は税金で持っていかれるんだからな」などと納得してしまう人もいるようですが、ちょっと待ってください。
賃貸経営というからには、これは一つの立派な事業です。借入金をしっかり返済し、納税資金を確保していく上でも、収益をきちんと上げていかねばならない。マネジメントの基本です。
それなのに、「儲からなくていい」とうそぶくとは、顧客のことを思ってのセリフとは思えません。アパートを建てる本来の目的を、相続税対策という名目で、巧妙に視点をズラす手法であり、見積もり上の工費を高めに設定しているのを、ごまかそうとしているリスクもあります。
利益を上げつつ、きちんと相続対策も両立できる手法はあるのです。くれぐれも営業マンの詭弁にだまされないようにしてください。