\1月20日(火)ライブ配信/
調査官は重加算税をかけたがる
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
「無理矢理作った」…が、かなり「苦しい主張」なワケ
4 遺言の無効を主張するには
本件の事例のような場合、Aが遺言を無理矢理作らせたとして、そもそも遺言が無効であるという主張も考えられます。
すなわち父が重度の認知症であり、それにも関わらずAが祖父を公証役場に連れていって、公正証書を作らせたという主張です。
この主張はなかなか大変です。というのは、公証役場という公共の団体において、公証人という地位のある人間が立ち会って作成した以上、公正証書遺言の内容は原則として有効であるからです。
自筆証書遺言の場合には、筆跡が違うケース等も考えられ、ほかの者が作成したものとして無効となることもあるでしょう。
しかし、公正証書の場合は、被相続人は自分で書くわけではなく、立ち会って内容を確認するだけで、実際に作成するのは公証役場の公証人です。このことから、無効を主張するには、作成したときに重度の認知症であることを証明する必要が生じるわけです。
遺言無効確認の裁判を提起して、その時期のカルテや第三者・公証人の証言等をもとに、作成した時点で祖父が重度の認知症であることを証明する必要があります。
裁判例上、無効が認められるケースは非常にまれです。
5 最後に
以上解説してきたように、相続で一度紛争が発生した場合には、相続人同士、二度と会いたくなくなる事態にまで発展します。離婚等と同様、まったく知らない同士の紛争よりも親しかった者同士の紛争のほうが、憎さ100倍になるようです。
相続人間で戦うことになってしまった相続を、「争う」に家族の「族」で「争族」などと言ったりします。「争族」にならないようにするには、まず遺言を準備する等、早め早めの対策が必要です。
櫻井 俊宏
弁護士法人アズバーズ代表
中央大学法実務カウンセル
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【12/9開催】
「資産は借りて増やせ!」
3年間で延べ1,500社以上を担当した元銀行トップセールス社長が語る
“新規事業×融資活用”で資産を増やすレバレッジ経営戦略
【12/11開催】
企業オーナー・医療法人のための
事業と個人の安心を守る「グローバル資産戦略」
〜実例で学ぶ 経営資産の防衛と承継設計〜
【12/13-14開催】
不動産オーナーのための「法人化戦略」
賢いタックスプランニングで“キャッシュを最大化する”方法
