では民間企業の年間給与はどうなっているのでしょうか。国税庁の「民間給与実態統計調査」(平成30年分)によると、給与所得者数は5,026万人で、平均年間給与は441万円。企業規模別でみていくと、資本金5,000万~1億円で349万円、1億~10億円で378万円、10億円以上で473万円となっています。
民間企業の場合、正規雇用と非正規雇用が混在し、一概に民間企業の給与は低いといえませんが、それでも先行きの見えない不景気な世の中では、公務員が魅力的にみえるでしょう。
しかし、コロナ不況は、公務員の給与にも影響を与えています。先日人事院は、新型コロナウイルス感染拡大で民間の支給水準が低下していることを踏まえて、2020年末の国家公務員の期末・勤勉手当を0.05ヵ月引き下げて年4.45ヵ月とするよう国会と内閣に勧告しました。ボーナスのマイナス改定を求めるのは10年ぶりで、年間給与は平均2万1,000円ほど減る見通しです。
それでも賞与ゼロ、減給……と厳しい民間企業の懐事情を鑑みると、うらやましいと感じる人も多いでしょう。また以前は「勤め上げれば退職金が……」と、将来設計が描けましたが、いまは退職金制度を廃止する企業も増えています。もはや「正社員であれば安心」という時代は終わってしまったのです。
国家の危機的状況のなかで、多くの公務員が時間を度外視して働いています。なかには前出の教員のように、限界に達している人もいるでしょう。そのなかで、給与が高い・安いの議論はナンセンスかもしれません。ただ大企業でさえ倒産しかねない、このコロナ禍。公務員の安定性は、会社員にとってこの上ない憧れにうつるでしょう。
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