一般的な税理士は「財産評価の専門家」ではない
今回は、相続税還付の相談をする前にチェックしておきたい項目を3つ紹介します。次の項目に該当するものがあれば、還付を受けられる可能性は高くなりますので、チェックしてみてください。
①当初申告をした税理士が、確定申告や会社の顧問をメインにしている
一般的な税理士は会計と税金の専門家であり、財産評価の専門家ではありません。個人や法人の会計や税金については日ごろから接しているので、的確なアドバイスをしたり節税のテクニックもいろいろあるとは思います。
そのため、最もニーズのある税目は「所得税・法人税・消費税」となります。それに対して相続税については案件数が少なく、一般的な会計事務所では年に1件か2件ほどしかやらないところがほとんどであり、場合によってはゼロ件というところもたくさんあります。
そんな一般的な会計事務所に相続税の案件が来ても普段接しないため、慌てて相続税の本など専門書を片手に申告書を作成することになります。このような付け焼刃の知識では適正な申告書ができないと思われますから、還付の可能性はかなり高くなるといえます。
②昔から付き合いのある税理士にお願いをした
昔から付き合いのある税理士がいる場合には、ほとんどの方がその税理士に相続税の申告をお願いすることでしょう。しかし、相続税の申告に慣れている税理士は極めて少ないため、昔からの付き合いのある税理士がたまたま相続税専門である可能性はほとんどないといえます。相続税専門である税理士であればよいのですが、「昔からの付き合いがあるから」という理由だけで選んだのであれば、還付の可能性は非常に高いと思います。
なぜ税理士によって不動産の評価に差が出るのか?
③当初申告をした税理士があまり不動産に詳しくない
相続税の計算ではその計算の基となる財産の評価が最も重要になってきます。財産には不動産、預貯金、有価証券など様々なものがありますが、その中でも不動産の占める割合は高くなっており、かつ、不動産の評価は税理士によって最も差が出やすいものでもあります。
基本的には路線価に地積を乗じて計算するのですが、土地には個性があります。いびつな形をした土地であれば不整形地補正をして減額できますし、道路が狭ければセットバックによる減額の可能性があります。ほかにも空を見て高圧線があれば評価減要素ですし、隣に墓地がある、線路沿いで騒音がうるさい等も減額の可能性があります。
税理士試験はとても難しい国家試験ではありますが、不動産に関する試験科目はありません。そのため、税理士の資格を持っているだけでは、不動産に関する知識を得ることができないのです。相続税の計算では、いかに不動産に関する知識を持って評価をするかが肝になってきます。