今回は、相続税の還付請求に消極的な人が抱きがちな「誤解」についてお伝えします。 ※本連載は、相続税の専門家として「相続税還付」に力を入れている佐藤和基氏の新刊で、2015年12月に刊行された『不動産の知識があれば相続税は取り戻せます!』(住宅新報社)の中から一部を抜粋し、納め過ぎた相続税を取り戻すノウハウなどをご紹介します。

当初の税理士に基本的に知られることはない還付請求

今回は、相続税還付でよくある質問について見ていきます。

 

Q:当初の税理士とは今後の付き合いもあるので、相続税還付をお願いしたことがばれるのがいやです。

 

昔からの付き合いのある税理士であれば、今までお世話になったという気持ちもあると思いますし、今後も長く付き合う点を考えると相続税還付をお願いしたことがばれると今後の関係性にも悪影響が出てくるかもしれません。

 

しかし、相続税の還付請求をする際には、更正の請求(又は更正の申出、更正の嘆願)に「税務代理権限証書」という委任状を添付することになります。そのため、税務署からの通知も当初の税理士ではなく、新たに「税務代理権限証書」を添付した当事務所に連絡がきますので、相続人の方が自ら言わない限り、当初の税理士に知られることはありませんのでご安心ください。

相続税還付は国税通則法に則った合法的な手続き

Q:税務署から怪しまれないですか?

 

相続税還付は、払い過ぎた税金を国税通則法に則って合法的に手続きをするだけです。相続税の申告期限は10カ月以内と定められていますが、必ずしも10カ月の間に被相続人の全ての財産を把握し、正確に評価することができるわけではありません。そのため、申告漏れがあったり、逆に納め過ぎてしまうケースも出てきます。

 

国税通則法ではそのような申告漏れや納め過ぎてしまった場合に、後から修正ができるように、修正申告(増額の場合)や更正の請求(還付の場合)について、法律で手続きを定めています。逆に税務署側からも、更正(増額更正と減額更正)や決定処分(無申告の場合に税額を決定する)ができるように法律で定められています。そのため、過去の申告が適正なものであれば還付は認められませんが、誤って納め過ぎていた場合には当然還付されます。

現地調査までしない税務署減額要因に気付かない

Q:既に税務調査が入っています。還付手続きをしたところで税額は変わらないのでは?

 

既に税務調査が終わっていれば、これ以上増額になることはありません。税務調査は追徴課税が目的なので、納税者に有利となるような土地評価等の減額について、税務署が指摘することはほとんどないのが実情です。

 

仮に税務署が土地評価の減額をするためには、現地を見て減額要因がないのかを調査したり、役所調査をして減額要因がないかどうかを調べることになってしまいます。税務署としては税金を下げるためにそこまで力を入れて現地調査・役所調査をするようなことはないため、減額要因があったとしても税務署も気付いていないのが実情です。本音を言ってしまうと、税務調査が終わっていれば増額リスクがないため、非常に見直しをしやすいといえます。

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    本連載は、2015年12月9日刊行の書籍『不動産の知識があれば相続税は取り戻せます!』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    不動産の知識があれば相続税は取り戻せます!

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    佐藤 和基

    住宅新報社

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