不動産所得1億円超が最も多いのは「東京」だが…
以前は持ち家がステータスだった時代がありましたが、昨今は、持ち家にこだわらない人たちも増え、一概に「家をもつこと」が重要視されなくなっています。
一方、一般の人にとって憧れるのは「不動産で食べていける」という人たちではないでしょうか。不動産収入だけで生きていける――。実に、いい響きです。
そんな憧れの人は、どこにいるのでしょうか。国税庁が公表している「統計年報」から、所得税納税者を対象に不動産所得で1,000万円以上と申告している人を、都道府県別にみてみましょう。
不動産所得1,000万円以上の人が最も多いのは「東京」で7,647人、「大阪」2,420人、「神奈川」1,990人、「愛知」1,765人、「福岡」1,194人と続きます。上位をみてみると、100万人を超える大都市を有する地域が並びます。また6位「兵庫」7位「埼玉」8位「千葉」までが、不動産所得1,000万円以上の人が1,000人を超えています(図表3)。
一方、不動産所得1,000万円以上の人が最も少ないのは「島根」で68人。続いて「鳥取」84人、「徳島」89人、「高知」96人。この4地域が、不動産所得1,000万円以上の人が100人をきっています(図表4)。
さらに上には上がいます。不動産所得だけで億万長者の人がいる地域をみていきましょう。そんな夢のような人は、29都道府県に434人います。そのうち307人がいるのが「東京」。「大阪」25人、「神奈川」16人、「愛知」13人、「福岡」10人と続きます(図表5)。
ちなみに不動産所得で5億~10億円という人が「大阪」に1名。この方が、不動産所得に限り、日本で一番稼いでいる人は、「大阪」にいるようです。
今回、不動産所得に焦点を絞ってみてきました。不動産所得は主に不動産売買で利益が出た場合に申告するもの。家賃収入は一定の基準を満たせば、不動産所得ではなく事業所得として確定申告をすることができるので、不動産所得の状況をみただけで、高所得の不動産オーナーの分布を正確に知ることはできません。ただひとつの傾向はみてとれるでしょう。
また不動産所得が多いからといって、「富山」や「秋田」のように、広い家に快適に暮らしている、とは限りませんし、幸せとも限りません。しかし人生で一度は言ってみたい「不動産で食っていけるから」と本当に言える人は、やはり大都市・東京に多いといえます。