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バイオ医薬品関連企業の株価動向
7月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は下落しました。7月のバイオ医薬品セクターは、4ヵ月連続の強い上昇相場の後、上げ一服の展開となりました。バイオ医薬品セクターは、新型コロナウイルス・ワクチンの良好な治験結果の発表を受けて、月初は上昇したものの、月の後半は、利益確定の売りに押されました。ウイルス用ワクチンの有効性を確認するための、多数の被験者を使ったフェーズ3治験を行うには時間を要するからです。治験結果は、秋の終わり頃、発表される予定です。これまでに発表された第2四半期(4~6月期)決算は、総じて、予想通り或いは予想を上回り、業績発表後は、材料出尽くしの利益確定売りに押されました。
株価が上昇した銘柄としては、イミュノメディクス(米国)、ヴェラサイト(米国)などが挙げられます。イミュノメディクスは予定に先立って発売したがん治療薬の販売状況が良好な模様であることなどが好感されました。ヴェラサイトは、新型コロナウイルスの影響を受け、4~6月期は赤字を計上しましたが、新型コロナウイルス検査分野での相次ぐ戦略的提携が投資家の注目を集めました。
株価が下落した銘柄としては、アカディア・ファーマシューティカルズ(米国)、ニューロクライン・バイオサイエンシズ(米国)などが挙げられます。アカディア・ファーマシューティカルズは、憂鬱症治療薬候補の治験結果が期待外れに終わったことなどがマイナスとなりました。ニューロクライン・バイオサイエンシズは、特段の材料がない中、利益確定売りで前月までの上昇分の一部を失いました。
今後のバイオ医薬品市場見通し
バイオ医薬品セクターについては、短期的には新型コロナウイルスの感染拡大の動向と、秋に実施される米国大統領選挙が株価に影響を与える重要な話題となっています。新型コロナウイルスに関しては、一部の製薬企業やバイオ医薬品企業は急ピッチで開発を行っており、比較的短期間に効果のある治療法が発見されるものとみています。一方、ワクチンの開発は他のコロナウイルスについても完成しておらず、開発までには時間がかかるものと考えますが、複数の企業が開発を進めています。
現在、医薬品に関連する医療費の議論で重要な転換が起こっています。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。
医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。株式市場の先行きには不透明感がありますが、そのような間でも、長期志向で、市場の非効率性に注目するアクティブ運用者にとっては、数多くの投資機会が存在するものと考えます。
バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる
バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました(図表6参照)。
バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています(図表7参照)。
売上高の伸びに沿って株価も上昇
過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります(図表8参照)。
バリュエーション
足元、新型コロナウイルスの治療薬およびワクチン開発への期待やバイオ医薬品企業の業績が景気動向に左右されにくい特性などが注目されて株価が上昇しており、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)の水準も上昇しています(図表9参照)。
※記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年7月のバイオ医薬品市場』を参照)。
(2020年8月19日)
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