2020年7月の水関連株式市場

投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社マーケット情報。専門家が明快に分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

7月の投資環境

7月の世界株式市場は、MSCI世界株価指数(現地通貨ベース)で上昇しました。世界の株式市場は、新型コロナウイルスの感染者数が世界的に増加傾向を示したことがマイナス要因となりながらも、米ISM製造業景況指数や米雇用統計などの経済指標が市場予想を上回ったことを受けて、月初から上昇基調となりました。

 

その後も市場予想を上回る企業決算の発表が見られたことや新型コロナウイルスのワクチン開発への期待、欧州の復興基金案が合意に至ったことなどを背景に中旬にかけて上昇しました。

 

下旬には米中対立の激化や新型コロナウイルス感染者数の増加などを受けて反落しましたが、月間では上昇しました。業種別では、一般消費財・サービス、素材、コミュニケーション・サービスなどが大きく上昇した一方、エネルギーが下落しました。

 

こうしたなか、水関連企業(現地通貨ベース)の株価は市場を上回って上昇しました。装置製造・エンジニアリングセクターでは、ダナハーに関して同社のコロナウイルス検査薬、各種治療薬、ワクチン開発及びバイオプロセス・テクノロジーに対する旺盛な需要により、第2四半期の決算において、好調な売上げ及び収益を発表したことが好感され、株価が上昇しました。

 

また、これらの事業は2021年度も好調に推移すると考えていることに加え、ライフサイエンス事業が回復傾向にあることも業績に貢献すると考えており、更なる株価上昇余地があると考えています。

 

サーモフィッシャー・サイエンティフィックについては、速報値を上回る内部成長とコロナウイルス検査薬等の売上げが好調であったことを背景に、1株当たり利益(EPS)が大幅に上昇するなど、好調な決算を発表したことを受け、株価が上昇しました。

 

また、中国事業の回復が予想を少々下回っているものの、経営陣は年後半にかけての回復を見込んでいることに加え、その他コア事業についても回復が期待されています。水質の検査に強みを持つ上記両社にとって、新型コロナウイルスが水や下水内で生存する可能性があること等を背景に水質モニタリング関連事業が好調に推移すると考え、更なる株価上昇の余地が残されているとも考えます。

 

一方で、エコラボについては、価格下落圧力や、販売量の減少や収益性が悪化したことを受け、第2四半期の業績がふるわなかったことに加えホテルやレストラン関連事業について、現在経営陣が見通しを示せていないことを背景に株価の上昇が相対的に小幅に留まりました。

 

一方で、同社が新しいデジタルソリューションの投入を背景に新たなマーケットシェアの獲得を目論んでいる公衆衛生事業に対する需要の増加予想に基づき、長期的な展望は良好だと考えます。また、クボタに関しては米中貿易摩擦や米大統領選挙等の政治的不確実性を背景に年後半にかけて同社の海外事業に対する懸念が嫌気され、株価の上昇幅が限定的となりました。

 

上下水道ビジネスセクターでは、アメリカン・ウォーター・ワークスについて、新型コロナウイルス関連費用を早期に相殺できると考える上、経済の停滞により地方自治体の財政が悪化することが見込まれ、同社にとって新規事業の獲得機会になり得ることが株価を押し上げました。

 

一方で、カントン・インベストメントについては、高ベータ銘柄への注目が集まるなか、配当に関する不確実性や香港における水道料金の見直し等が嫌気され、株価の上昇が相対的に限定的となりました。

 

円換算ベース、月次、期間:2010年7月末~2020年7月末 ※先進国株式:MSCI世界株価指数、水関連企業:S&Pグローバル・ウォーター指数(株価指数はすべて配当込み、ネットベース) 出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表1]水関連企業の株価推移 円換算ベース、月次、期間:2010年7月末~2020年7月末
※先進国株式:MSCI世界株価指数、水関連企業:S&Pグローバル・ウォーター指数(株価指数はすべて配当込み、ネットベース)
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

月次、期間:2010年7月末~2020年7月末  ※水関連企業:S&Pグローバル・ウォーター指数  出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表2]水関連企業の株価収益率(PER)の推移 月次、期間:2010年7月末~2020年7月末
※水関連企業:S&Pグローバル・ウォーター指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

今後の見通し

足元では、地政学的リスクや米国の金融政策に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大などマクロ経済見通しを不透明にする多くの要因があり、世界の経済成長に対してプラス、マイナスの両方に作用しています。不透明な環境は、世界全体の製造業景気指数が弱気な見通しを示すなどビジネス・センチメントに影響しています。

 

水関連インフラへの投資は必要不可欠であり、中長期的に見ると、世界的に事業展開を行う水関連銘柄のファンダメンタルズは堅調であると考えます。温暖化の影響から世界的な気候変動によって引き起こされる干ばつや洪水の問題なども、水関連インフラへの投資を呼び起こしています。中長期的に水関連株式は引き続き魅力的な投資対象であると考えます。

 

 

※記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年7月の水関連株式市場』を参照)。

 

(2020年8月11日)

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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