外国人を雇わなければ介護事業はもはや成り立たない
また、高齢者と並んで介護現場の人手不足をカバーする存在として今や不可欠になっているのが外国人労働者です。例えば、介護事業者が外国人を雇用する方法の一つとしてEPA(Economic Partnership Agreement 経済連携協定)があります。このEPAに基づく介護福祉士候補者の受入れは2008(平成20)年からスタートしました。次ページのグラフに示したように受入れ実数は年々増加しており、2018(平成30)年度までに過去808カ所の施設等で4302人が雇用されています。
私の介護施設でも、現在、中国やベトナムなどの国々から来た人たちが現場で即戦力として働いており、大いに助けられています。国は2017年11月1日に外国人技能実習制度の対象職種に介護職種を追加するなど、外国人介護職員を今後さらに増やしていく方針を強めています。このように、日本の介護事業は、外国人がいなければもはや成り立たない状況に陥っているといっても過言ではありません。
◆介護業界で生き残ることはますます難しくなる
過当競争に人手不足……これらの問題は、今後も介護事業者の経営を破綻させるおそれがあるリスク要因として十分に意識しておく必要があります。とりわけ後者の問題については、日本の人口が減少し、ますます労働力が不足していくなかで、より深刻化することが避けられません。
これから介護事業を始めようとするのであれば、「競合との競争のなかで、どのように一人でも多くの利用者を集めるのか」「人手不足の状況のなかで、どうやってスタッフを確保するのか」をしっかりと考え十分な策を講じておかなければ、もはや生き残ることは困難なのです。
長屋 榮一
株式会社アートジャパンナガヤ設計代表取締役/一級建築士/工学博士