原油価格は40米ドル台で緩やかな上昇傾向
■北米の代表的な原油指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は、この1ヵ月で7%程度上昇し、足元では40米ドル程度で推移しています。
■協調減産が実施される一方で、各国・地域で新型コロナ感染抑制のためのロックダウン(都市封鎖)が緩和され、世界経済は徐々に回復に向かっており、原油価格は均衡状態を取り戻しつつあります。
■7月15日の会合で、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成するOPECプラスは、8月から12月まで協調減産の規模を日量970万バレルから同770万バレルに縮小することで合意しました。
2020年は需要減少も2021年の急回復を見込む
■7月14日に公表されたOPEC月報7月号では、2020年の世界の原油需要予想は日量9,072万バレルと、前月見通しからやや増加しました。前年比では同895万バレル減少すると予想しています。
■一方、2021年の原油需要は米中貿易摩擦や新型コロナ感染第2波などによる更なる下振れリスクが発生しないことを前提として、同9,772万バレルまで回復すると見込んでいます。
引き続き経済活動再開と感染再拡大の狭間で推移
■原油価格は、各国・地域のロックダウン緩和による経済活動再開を背景に上昇してきました。しかしここにきて、新興国での新型コロナの感染者数増加に加え、人々の行動制限の緩和に伴う感染第2波が懸念されています。引き続き、経済活動再開と感染再拡大の状況を見ながらの展開が予想されます。
■OPECプラスは経済活動再開に伴い減産規模を縮小しましたが、新型コロナの感染状況いかんでは、再度協調減産の拡大が必要になる可能性があります。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『原油価格は緩やかな上昇傾向(2020年7月)』を参照)。
(2020年7月20日)
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