『Amazon Prime Video(アマゾンプライム・ビデオ)』『Netflix(ネットフリックス)』をはじめとしたサブスクリプション(=サブスク)を活用している人は多いことだろう。有料動画配信サービスに倣い、大手企業がこぞってサブスクを始めているが、解約率の高さに頭を抱えるケースも少なくない。そんなときに活躍するのが、チャットボットを解約ページに置き、その原因をヒアリングするシステムだ。本記事では、株式会社Macbee Planetエヴァンジェリスト・佐野敏哉氏の書籍『解約新書 マーケッターに捧げる解約の真実と処方箋』(幻冬舎MC)より一部を抜粋、チャットボットを導入したFODを例に解説していく。

チャットボットは「無自覚だった問題点」を可視化する

◆他社サービスとの違いが分からずにやめようとしている

 

FODでは魅力ページを見た人の10%以上が解約するのをやめています。このように魅力ページを見に行く人が意外と多く、しかも解約するのをやめた人が一定数いるということは、FODのサービス内容も乗り換えようとした先のサービス内容もそれほど把握していなかったことが推測されます。テレビや電車でCMを見て、ネットフリックスをちょっと見てみたいと思った程度なら、FODの魅力ページで「やっぱりFODもいいな」と思い直したり「いっそ両方見てみようか」と考えることもあり得るでしょう。

 

よく分からないけれど別のサービスに乗り換えようとする傾向は、サブスクリプションサービスの数が増えるほど強くなります。おそらく「FODとネットフリックスのサービスの違いはどこでしょうか?」とチャットボットで聞いてみたら、「よく分からない」という回答が多いはずです。解約ページに来た人だけでなく、ユーザーに自社のサービスのよさを周知しておくことも必要です。

 

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また解約の理由を尋ねると「料金が高い」という回答が少なくありません。FODの976円は動画配信の中で高くもなければ安くもないという水準ですが、そうは思っていない人がいます。

 

なにに対して高いのか、ネットフリックスと比較したのかアマゾンプライムビデオと比較したのか、あるいはレンタルビデオよりも高いと思っているのか。いくらなら安いと思うのか。そういう質問を増やすことで、ユーザーの価値観がより細かく見えてきます。

 

同じ意味で「どんな機能があったらやめませんか?」という質問から、興味深い回答が得られるはずです。

 

ユーザーが今利用している製品やサービスを理解していない一方で、企業がユーザーを意外と分かってないこともこれまで見て来た通りです。そこをマッチングするのがデジタルマーケッターのこれからの使命になります。チャットボットはそのためのデジタルマーケティングのツールになっていきます。

 

 

 

 

佐野 敏哉

株式会社Macbee Planet エヴァンジェリスト