『Amazon Prime Video(アマゾンプライム・ビデオ)』『Netflix(ネットフリックス)』をはじめとしたサブスクリプション(=サブスク)を活用している人は多いことだろう。有料動画配信サービスに倣い、大手企業がこぞってサブスクを始めているが、解約率の高さに頭を抱えるケースも少なくない。そんなときに活躍するのが、チャットボットを解約ページに置き、その原因をヒアリングするシステムだ。本記事では、株式会社Macbee Planetエヴァンジェリスト・佐野敏哉氏の書籍『解約新書 マーケッターに捧げる解約の真実と処方箋』(幻冬舎MC)より一部を抜粋、チャットボットを導入したFODを例に解説していく。

チャットボットで再確認「アマゾンプライム」の凄み

◆人気ドラマの魅力を解約前にもう一度伝える

 

FODでも解約してからどの配信サービスに行くかを尋ねます。さらに「FODプレミアムはフールーとは違った楽しみ方があります、ページを作ったのでご覧になりますか?」と尋ねて、「はい」と答えると「こちらをクリックしてご覧ください」と「魅力ページ」に飛ぶようになっています。

 

FODには『東京ラブストーリー』のような1980年代末から90年代始めのバブル期に人気を集めたトレンディドラマ、『牡丹と薔薇』を始めとする昼ドラ、『銭形平次』『大奥』といった時代劇などドラマのラインナップが充実しています。『古畑任三郎』『ガリレオ』『BOSS』といったヒット作も揃っています。このようなドラマ群は、ほかのどの配信サイトにもない強みです。

 

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さらに、例えばネットフリックスに行こうとしている人には雑誌が読めることも紹介します。こうして魅力ページでFODのよさを印象づけます。ドラマの内容までゆっくり味わってもらう必要はないので、早めにチャットボットとの会話に戻ってもらうようにページを構成しています。

 

この魅力ページに、ネットフリックスに行こうとした人のうち4人から5人に1人が見に行きました。4、5人に1人はまだ迷っているということです。利用料金もネットフリックスは月額880円(ベーシックコース)で、FODの976円と拮抗しています。ユーネクストはFODと同じく月額料金で雑誌が見られますが、2189円と料金が高いので迷っている人がさらに多く、3人から4人に1人が魅力ページでFODのサービスを確認しています。

 

一方、アマゾンプライム・ビデオになると10人に1人、dTVは7人に1人しか魅力ページを見に行きません。アマゾンプライム・ビデオが月額500円、dTVが550円ですから、これは価格競争力の違いといえそうです。

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