新興国投資編(2)新興国投資の魅力と新興国の定義

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新興国投資編(2)新興国投資の魅力と新興国の定義

ピクテ投信投資顧問株式会社が、実践的な投資の基礎知識を初心者にもわかりやすく解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するコラムを転載したものです。

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新興国投資の魅力とは一体なんでしょうか。新興国投資は先進国投資と比べてリスクも大きい反面、大きなリターンが期待できる、そんなイメージをお持ちの方が多いと思います。今回は新興国投資の魅力やその定義についてみていきます。

新興国投資のリスクとリターン

「新興国投資の魅力とは一体なんでしょうか。新興国投資は先進国投資と比べてリスクも大きい反面、大きなリターンが期待できる、そんなイメージをお持ちの方が多いと思います。新興国投資のリスクは先進国投資のリスクに比べて大きいというだけではなく、リスクの種類という点でも、先進国投資では考えられないようなリスクが顕在化することもあります。先進国投資と比べて大きな期待リターンというのも、そのリスクがあるからこそ、なのです。とはいえ、「そんなこといっても、足元の新興国のパフォーマンスは振るわない」「むしろ先進国に負けている」「リスクが高いだけじゃないのか」そうお感じになる方もいらっしゃると思います。

 

たとえば、戦後間もない1950年12月末、その当時の日本は紛れもない新興国でしたが、その時の日経平均株価の終値は109.75円でした。それから70年弱が経過して日本は先進国となり、2020年4月末の終値は20,193.69円になりました。約200倍になったということですね。1964年末の香港ハンセン指数は101.45でしたが、それから55年強が経過し、2020年4月末には24,643.59になりました。1967年末の台湾加権指数は100.33でしたが、それから52年強が経過し、2020年4月末には10,992.14になりました。インドのSENSEX指数は1979年末に118.76でしたが40年強が経過し、2020年4月末には33,717.62になりました。

 

国が経済的に大きく成長するには10年単位の時間が必要です。半年や1年といった短い期間では、大きな成長を期待することはできません。子どもの成長と同じです。毎日身長を測って伸びない伸びない、といっていてもそれは詮ないことというものです。数年ぶりに会った子は驚くほど大きくなっていた、そんな経験は誰にでもあることだと思います。たとえるなら先進国というのは大人、新興国は子どもです。大人は外に遊びに出ては転んで傷を作って帰って来たりしませんし他の子とケンカをしてしまうなんてこともあまりありません。しかし、成長余地という点ではどうでしょうか。もちろん大人にも大きな成長余地がありますが、子どもの成長余地とは比べ物になりません。子供はケガをしたり、ケンカをしたり、怒ったり、泣いたりを繰り返しながら、10年単位では驚くような成長を見せてくれます。

新興国投資の魅力

更にいうなら、投資のリターンを大別すると①キャピタルゲイン(売買差益)と②インカムゲイン(配当や利金収益)ということになりますが、①のキャピタルゲインは変化幅でなく変化率をとらえるものです。既に大人の先進国の株価が10倍になることは大変ですが、大きな成長余地のある新興国の株価は10倍になることも十分可能です。たとえば1cmの高さの木の芽に水をやり、世話をして1m成長させたとすると約100倍にしたことになりますが、10mの巨木に水をやり1m成長させたとしても、同じ1m幅の成長ですが、率にすればわずかに10%の成長ということになります。これをキャピタルゲインに当てはめて考えると前者は100倍になり、後者はわずか1.1倍ということになります(図表1)。こうした、長期的に見た大きな成長余地というのが新興国投資の魅力といえるでしょう。

 

[図表1]同じ1mの成長でも…(イメージ)

新興国の定義

ところで、ある国が新興国か先進国かというのは何によって決まるのでしょうか。具体的には、たとえば中国は先進国でしょうか、それとも新興国でしょうか。中国は国全体の経済規模としては既に世界で2番目の大きさの経済大国で、日本よりも遥かに大きいですが、現在の中国を先進国と考える人は少ないのではないでしょうか。では何をもって中国を先進国ではなく、新興国と見なすのでしょうか。

 

実は、先進国と新興国を分類する明確な基準や絶対的なルールというのは存在していません。様々な分類方法が存在していて、分類方法によって先進国になったり新興国になったりしてしまう国がある、という表現が適切です。たとえば、一般的に世界経済について語るときによく使われるのはIMF(国際通貨基金)による先進国と新興国の分類です。

 

IMFは各国を先進国と新興国に分類するにあたっては、主に3つの面で検討しています。1つ目は国民1人当たりの所得水準(高ければ先進国、低ければ新興国)、2つ目は輸出品目の多様性(たとえば1人当たりGDPが高くても原油輸出に大きく依存する国は先進国に分類しない)、3つ目はグローバル金融システムへの統合度合いです。

 

この分類によりますと、IMFは世界の194の国と地域のうち39の国・地域を先進国に分類し、残りの155の国・地域を新興国に分類しています。一方で、株式市場の代表的な指数を提供するMSCI社は先進国株式指数と新興国株式指数を提供するにあたり、先進国23ヵ国と新興国26ヵ国でそれぞれの指数を構成しています(図表2)。図表中で赤字の国はIMFの分類では先進国に分類されているものの、MSCI基準では新興国に分類されている国・地域です。更に、債券の指数提供会社はまた独自の分類をしているため、ある分類では新興国とされる国が、別の分類では先進国に分類されたり、ということがあります。

 

出所:国際通貨基金(IMF)、MSCI
[図表2]新興国の定義 出所:国際通貨基金(IMF)、MSCI

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新興国投資の魅力と新興国の定義』を参照)。

 

(2020年5月21日)

 

 

 

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