前回は、複数の移動平均線が1本に重なり合った「収れん」と、株を売買する「逆指値注文」について説明しました。今回は、「押し目買い」はどのタイミングで行うべきか、上昇相場ができるサインとは何かを見ていきます。

一度儲けた銘柄は、二度目の参戦で「押し目買い」

上昇相場で買いを仕掛ける戦略は大きく二つに集約されます。

 

一つは、株価が移動平均線を上抜けるなど、相場が上昇トレンドに入る、その直前のタイミングをとらえて買いに入る「ブレイクアウト」。

 

もう一つは、上昇トレンドの途中で、一時的に株価が下がったタイミング(押し目)をとらえて買いに入る「押し目買い」です。今度は二つ目の「押し目買い」を利用する方法をご紹介します。

 

株を始めた最初のころは、勝ちグセをつけるために早々と利益確定をしたところ、直後にその銘柄が大きく上昇して大相場に発展するという、口惜しいケースによく出くわします。欲をかきすぎずに早めの利益確定をすることは良いことですが、ただし上昇してきた株価が一服して足踏みしたような「踊り場」ができたときには注意が必要です。

 

一旦、踊り場が形成されると、そこからもう一度大きく上昇する場合には、前ページの図のように、直近の値幅の半値まで値下がりしたところで一旦止まり、もみ合いながら上に行くことが多くあります。こうした相場を「半値押し」といいます。半値の他、3分の1押し、3分の2押しなども、相場が転換する節目だといわれています。

 

半値押し後の「収れん」パターンを狙う

このように、下げ幅の半分まで戻してもみ合った相場は、再び上昇トレンドに戻る可能性が高い傾向にあります。これとは逆に、一度基点まで下がってしまった相場は、ほとんどの場合再び上がることはありません。このときも先程の「収れん」と同じような状況が現れた場合が、再び上昇トレンドに戻るサインです。

 

半値押しによって、再び上昇相場ができる理由は二つ考えられます。

 

一つは、相場が大きく動くときは、市場参加者の間でいち早く利益を確定したい、という心理が働くため、利益確定売りによって相場は一度下落に向かうからです。

 

もう一つは、その後、この銘柄がファンダメンタルズ的に割安だと判断されると、買いそびれた人たちが、一旦、下落したところから参戦するため、再び株価が引き上がり、その後の上昇トレンドにつながるからです。

 

一度火が付いた相場には、たくさんの投資家が目を光らせており、タイミングを見計らって参戦してくるため、一旦、利益確定を吸収した後、再び上昇相場に転じやすいといえます。そのため、1回利益確定しても、しばらくは監視を続けましょう。次に仕掛ける銘柄を探しながら、再度のチャンスに備えるというのも有効な手段だと思います。

 

ただし、このような相場が形成されるのは、往々にして景気が良く、業績に関する悪材料がないときです。リーマン・ショックのような局面では、いくら割安でも再び上昇に転じることは難しくなります。

 

いずれにしても2度目の参戦については、欲をかかずに早めに利益確定を行うのが鉄則です。1度目の売買で得た利益を吹き飛ばすことだけは、絶対に避けなければなりません。

本連載は、2015年12月10日刊行の書籍『初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法

初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法

紫垣 英昭

幻冬舎メディアコンサルティング

アベノミクス効果や日銀の金融緩和により、賑わいをみせている日本の株式市場。昨年からはじまったNISAに続き、ジュニアNISAの創設や教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の延長など、若年層にむけての資産形成支援も充実…

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