相続税の税務調査の実地調査件数は年間1万2,000件以上。申告漏れのなかでは「現金や預貯金」が最も多く、全体の3割を占めるといわれています。なぜ税務署は、未申告の現金や預貯金を見つけることができるのでしょうか。相続税申告200件以上を経験した相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の竹下祐史税理士が、実例をもとに、税務調査の実態と調査を見越した相続税対策について解説していきます。

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「マイナンバー本格導入」で何が変わる?

前述の調査手法も、マイナンバーの導入によって変わることが予想されます。

 

銀行では、平成28年1月から投資信託や個人向け国債などの特定の商品(預貯金は除く)を購入するための口座開設の場合には、マイナンバーの通知が求められています。

 

 

預貯金についても、平成30年1月からマイナンバーの導入が開始されました。銀行で新規の預金口座を開設する際には、マイナンバーの通知が求められることになりました。ただし最初から義務とされたわけではなく、3年間は任意とされ、義務化は令和3年からと予定されています。この任意の期間については金融機関からマイナンバーの提示を求められても断ることが出来ます。今後は既存の預金口座についても順次マイナンバーの通知が求められることが予想されます。

 

銀行預金にマイナンバーが本格導入されると、税務当局は、全国の預金口座とマイナンバーの紐づけが可能になります。

 

その結果、個人の銀行口座の網羅的な情報収集が容易になると推測されます。たとえば東京で亡くなった方が持っていた北海道の銀行口座であっても、マイナンバーで紐づけることにより情報収集が容易になりそうです。

 

当然意図的に計上すべき預金口座を隠すことは脱税になりますが、そうではなくても、相続人が把握していなかったために意図せず計上漏れとなってしまった預金口座について、マイナンバーを活用して税務署によって把握される可能性があります。

 

申告をする側である私たちも、マイナンバーの本格導入後の預金口座情報の把握は、より精度を上げて行っていく必要があると言えます。

 

 

税理士法人ブライト相続 税理士
竹下 祐史

 

 

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