鉱工業生産はプラス転換
小売売上高の戻りは緩やか
■中国国家統計局は15日、4月の主要経済指標を発表しました。4月の鉱工業生産は前年同月比3.9%と市場予想の1.5%を上回り、3月の▲1.1%からプラスに転換しました。前年同月比でプラスとなるのは昨年12月以来です。新型コロナウイルスの影響で急落した1~2月から急速に持ち直し、鉱工業生産の水準も昨年12月を上回りました。品目別では、ハイテク関連の生産の伸びがけん引しました。
■一方、4月の小売売上高は前年同月比▲7.5%と、3月の▲15.8%から減少率が縮小したものの市場予想の▲6.0%を下回りました。飲食業が▲31%となるなど、消費者の間に感染への懸念が根強く、外食などを控える傾向が続いていることが響きました。
固定資産投資は回復方向
■1~4月の固定資産投資は前年同期比▲10.3%と、市場予想通りで、1~3月の▲16.1%から減少率が縮小しました。内訳をみると、インフラ投資について単月の前年同月比を計算すると、4月にプラスに転じたことを示しており、投資は緩やかに回復しています。
全人代で政策パッケージが示され、20年は3%成長へ
■中国経済は新型コロナの影響で1-3月期に深刻な打撃を受けたものの、中国はいち早く感染拡大の封じ込めに成功し、4月の生産がプラス転換するなど、経済活動が徐々に回復しつつあります。こうした中、2020年中の「小康社会の実現」に強くこだわっているとみられる習近平指導部は、さらに雇用安定に向けて現金給付を含めた様々な政策対応を行うと思われます。5月22日から始まる全国人民代表大会(全人代)では、雇用確保の観点から積極的な政策パッケージが提示されるとみられます。このため、弊社は、2020年の実質GDP成長率を3.6%、21年を8.3%と予想しています。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国の鉱工業生産はプラス転換(2020年4月)』を参照)。
(2020年5月18日)
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