原油価格回復もまだ十分ではない(2020年5月)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

原油価格は経済活動再開などを背景に反発

■北米の代表的な原油価格指標であるWTIは、4月20日、▲37.63米ドルと史上初のマイナス価格になりました。原油生産の1割という歴史的な減産にも拘らず、「供給過剰を解消できない」との見方が大勢を占めたことに加え、先物の清算日を目前に控え投げ売りが出たことによります。

 

■その後は、「先物の中心限月が6月限に代わったこと」、「5月から合意された減産が実施されたこと」、「各国で経済活動再開の動きが始まったこと」、「米国原油在庫が16週ぶりに減少に転じたこと」などからWTIは上昇に転じ、足元では32米ドル台まで回復しました。しかし、昨年末比では▲47%と依然として半値水準程度に留まっています。

 

(注)データは2017年1月1日~2020年5月19日。  (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
WTI原油価格 (注)データは2017年1月1日~2020年5月19日。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

2020年の原油需要見通しは過去最大の減少

■5月13日に公表されたOPEC月報の5月号では、2020年の世界の原油需要予想は、前月見通しから223万バレル下方修正され日量9,059万バレルとなりました。

 

■2020年の原油需要を前年比でみると、OPECは日量908万バレルの減少、国際エネルギー機関(IEA)は前月見通しから70万バレル上方修正し同860万バレルの減少と予想しています。両社とも、新型コロナによる経済活動の低迷により、過去最大の需要減少を見込んでいます。

 

(注1)需給バランス=供給-需要。 (注2)単位は百万バレル(日量)。 (注3)2018年は実績。2019年は実績見込み。2020年はOPECによる予想。ただし、2020年のOPEC生産量は全体の需給が均衡するとの仮定のもとでの弊社算出値。 (注4)四捨五入の関係で、OPEC、非OPEC供給量の合計は必ずしも全体の供給量と一致しません。  (出所)「OPEC月報」のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
世界の原油需給見通し (注1)需給バランス=供給-需要。
(注2)単位は百万バレル(日量)。
(注3)2018年は実績。2019年は実績見込み。2020年はOPECによる予想。ただし、2020年のOPEC生産量は全体の需給が均衡するとの仮定のもとでの弊社算出値。
(注4)四捨五入の関係で、OPEC、非OPEC供給量の合計は必ずしも全体の供給量と一致しません。
(出所)「OPEC月報」のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

今後は、協調減産を継続し、経済正常化を待つ展開

■原油価格は反発に転じていますが、サウジアラビアの財政均衡レートは80米ドル、ロシアの同レートは40米ドル、米国シェールオイル企業の採算レートは40~50米ドル程度と言われており、現状の原油価格とは依然として大きな隔たりがあります。原油価格の本格的な上昇には、「産油国による大規模な協調減産の継続」と「経済正常化に伴う原油需要の回復」が必要となります。足元、世界は経済活動再開に踏み出していますが、感染再拡大も懸念されており、経済正常化にはなお時間を要しそうです。

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『原油価格回復もまだ十分ではない(2020年5月)』を参照)。

 

(2020年5月21日)

 

関連マーケットレポート

2020年5月1日 『原油価格下落』はプラス?マイナス?

2020年4月21日 協調減産復帰も原油価格は下落続く(2020年4月)

 


調査部は、総勢25名のプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの高度な分析を行い、それぞれの見通しを策定、社内外に情報発信しています。三井住友DSアセットマネジメントの経済・金融市場分析面での中枢を担っている他、幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、活動する機会や媒体は多岐にわたります。年間で約1,000本の市場レポートを作成し、会社のホームページで公開中(2018年度実績)。

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連載【デイリー】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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