新型コロナウイルスの感染者数の増加ペースはやや落ち着く
貸出支援策発表も下支え
■先週の米金融市場は、新型コロナウイルスの感染者数の増加ペースがやや落ち着き始めたことや米連邦準備制度理事会(FRB)が米財務省からの信用補填を利用し、2.3兆ドルに及ぶ貸出支援策を発表したことなどから落ち着いた動きでした。
企業決算の評価は難しい
市場の受け止め方に注目
■今後の注目点は企業決算発表の内容です。12ヵ月先予想利益ベースでみると、業績見通しはすでに2008年のリーマン・ショック時のように悪化しています。グローバルの供給網が停滞し、米国内での生産や消費活動が著しく制約されていることから、業績の大幅悪化は回避できないと思われます。もっとも、かつて経験のない状況下であることから、今後の見通しも含め評価は難しいと考えられ、市場の受け止め方が注目されます。
成長期待への信認は回復過程へ
■こうした環境の中、市場はどの程度まで成長悪化を織り込んだかを試算しました。S&P500種指数の益回り(5.51%、予想株価収益率〔18.1倍〕の逆数)、10年国債利回り(0.77%)を基に試算すると、4月13日時点で、期待成長率は0.96%でした。一時は▲1.0%まで織り込んだと推計されますので、成長期待への信認は回復過程にあると考えられます。米国株式市場は、再度大底割れとなる可能性は限定的と考えられます。
■米国の一連の金融・財政政策が期待成長率の悪化に歯止めをかけたと言えますが、足元の業績悪化や新型コロナウイルスの見通しの難しさを念頭に置けば、短期間でこれまでと同様の成長期待に戻るのは難しいと思われます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国株式市場~成長期待への信認は回復過程へ』を参照)。
(2020年4月14日)
関連マーケットレポート
2020年4月14日 世界の「投信マネー」(2020年3月)
2020年4月13日 吉川レポート:世界経済見通しの悪化とマネーフロー