新型コロナウイルスの感染拡大に落ち着きの兆し

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●欧州や米国の一部の州では、足元の新型コロナウイルス感染拡大ペースに鈍化の兆しがみられる。

●これまでの、感染拡大で景気見通し悪化という流れが反転し、主要株価指数は軒並み大幅高に。

●感染一服でも景気への影響は長引く恐れ、日本の感染抑制はこれからで株価二番底に要警戒。

欧州や米国の一部の州では、足元の新型コロナウイルス感染拡大ペースに鈍化の兆しがみられる

このところ、欧州では新型コロナウイルスの感染拡大ペースに鈍化の兆しがみられます。世界保健機関(WHO)のデータによれば、4月6日時点において、スペインの新規感染者数は6,023人(前日比の増加人数、以下同じ)と、4月1日につけた9,222人から減少しています(図表1)。また、イタリアでは4,316人と、3月22日につけた6,557人から、やはり減少しています。

 

この他、ドイツの新規感染者数は、3月28日の6,294人から、4月6日は3,677人まで減少し、フランスでも4月1日の7,500人から、6日には1,850人まで急減しています。なお、トランプ米大統領とペンス副大統領は4月5日、国内の感染拡大は頭打ちか落ち着きが始まった兆候がみられると述べました。ただ、一部の州ではそのような動きが確認できるものの、米国全体では依然、新規感染者数の増加傾向は続いています。

これまでの、感染拡大で景気見通し悪化という流れが反転し、主要株価指数は軒並み大幅高に

このような、欧州を中心とする感染拡大ペースの鈍化傾向を好感し、週明けの世界の株式市場は上昇で反応しました。4月6日の日経平均株価は、前週末比756円11銭(4.2%)高の18,756円30銭で取引を終えました。欧米株も軒並み大幅高となり、ドイツ株式指数(DAX)は同549.40ポイント(5.8%)高の10,075.17ポイント、ダウ工業株30種平均も同1,627ドル46セント(7.7%)高の22,679ドル99セントで引けています。

 

株式市場はこれまで、「ウイルスの感染拡大→人の移動制限→消費や生産の落ち込み→景気見通しの悪化→株安」、という流れを連想していました。それゆえに、足元で感染拡大が一服する兆しがみられたことは好材料で、「ウイルスの感染拡大ペースの鈍化→人の移動制限緩和→消費や生産の落ち込み回復→景気見通しの改善→株高」、という反応は、極めて自然なものと思われます。

感染一服でも景気への影響は長引く恐れ、日本の感染抑制はこれからで株価二番底に要警戒

確かに、一部で新型コロナウイルスの感染拡大ペースに鈍化の兆しがみられたことは、株式市場にとっては明るい材料です。しかしながら、これによってすぐに景気が持ち直す訳ではありません。今後、感染拡大の一服が、多くの国で確認されるようになれば、世界的に株価の底割れリスクは後退すると思われます。ただ、景気や企業業績への影響は比較的長い期間残る恐れがあり、株式市場全体の重しになる可能性は高いと考えます。

 

一方、日本に目を向けた場合、国内の新規感染者数は相対的に多くはないものの、増加傾向は続いています(図表2)。緊急事態宣言は本日発令の見通しで、日本の感染抑制はこれからです。早期の感染収束に成功すれば、日経平均株価の二番底回避への期待は高まりますが、収束が遅れれば、景気や企業業績の下押し圧力が更に強まるため、二番底への警戒は怠れません。

 

(注)データは2020年3月1日から4月6日。前日比の増加人数。 (出所)WHOのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]欧米の新規感染者数 (注)データは2020年3月1日から4月6日。前日比の増加人数。
(出所)WHOのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注)データは2020年3月1日から4月6日。前日比の増加人数。 (出所)WHOのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]日本の新規感染者数 (注)データは2020年3月1日から4月6日。前日比の増加人数。
(出所)WHOのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新型コロナウイルスの感染拡大に落ち着きの兆し』を参照)。

 

(2020年4月7日)

 

 

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト

 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 シニアストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介


調査部は、総勢25名のプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの高度な分析を行い、それぞれの見通しを策定、社内外に情報発信しています。三井住友DSアセットマネジメントの経済・金融市場分析面での中枢を担っている他、幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、活動する機会や媒体は多岐にわたります。年間で約1,000本の市場レポートを作成し、会社のホームページで公開中(2018年度実績)。

著者紹介

連載【市川雅浩・シニア ストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

【ご注意】
●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧