米国株式市場は大幅調整
NYダウの値下げ幅は過去最大
■2月27日の米国株式市場は、NYダウ工業株30種平均が前日比▲1,190.95米ドル、▲4.4%と大幅な値下がりとなりました。NYダウ工業株30種平均の値下げ幅は過去最大を記録しました。2月12日の史上最高値である2万9,551.42米ドルから▲3,784.78米ドル、▲12.8%の下落です。また、10年国債利回りは1.26%と引けベースで初の1.3%割れとなりました。
急速に進む期待成長率の低下
米国株式市場はどの程度の成長率の低下を織り込んだのか
■足元の下落は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大から今後のグローバルサプライチェーンへの影響などが懸念され、企業業績に対する不透明感が高まったことが背景ですが、株価の勢い(モメンタム)を重視するファンドの売りが下落を加速した面もあります。
■今回の急落を受け、市場は米国の期待成長率の低下をどれぐらいと見ているかを試算しました。S&P500種指数の益回り(5.98%、予想株価収益率(16.72倍)の逆数)、10年国債利回り(1.26%)を基に試算すると、2月27日時点で、米国株式市場は期待成長率を0.98%と1%を小幅に割り込むところまで織り込んでいると試算されました。
成長期待への信認が試される展開
■S&P500種採用企業の2020年の予想利益の伸び率は、20年1月1日時点で前年比+9.7%でした。2月27日時点は同+7.7%まで下方修正されており、短期的にはさらに下方修正されることになると思われます。
■一方、予想株価収益率は、24日の18.11倍から27日には16.72倍と、15年以降の平均水準まで一挙に修正が進みました。これまでの株価上昇が、低金利に頼りすぎてやや行き過ぎ感のあった点は否めず、ようやく割高ではない落ち着いた水準に回帰してきたと考えることもできます。
■COVID-19の影響などで業績の見通しは悪化するとみられます。しかし、米国株式市場の、トランプ大統領の政策対応に対する信認は厚く、米連邦準備制度理事会(FRB)の緩和的な金融政策の継続にも変化がないと思われます。成長期待の回復が確認されれば、米国株式市場は次第に堅調さを取り戻すと考えられます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国株式市場、成長期待への信認が試される展開』を参照)。
(2020年2月28日)
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