新型肺炎の拡大懸念で急落した株式市場

感染者数の変化と治療法の進展に注視を/デイリーマーケットレポート

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 調査部
新型肺炎の拡大懸念で急落した株式市場

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

急落した海外株式市場

新型肺炎の感染拡大を懸念

 

■2月24日の海外市場は、新型肺炎の拡大懸念で大きく下落しました。NYダウは前日比1,000ドル以上下落して、▲3.6%の2万7,960.80ドルで引けた他、欧州のストックス600指数も▲3.8%下落しました。欧米市場は堅調な10-12月期企業業績、今後の景気回復期待や緩和的な金融政策を反映して先週半ばまで過去最高値をつけましたが、新型肺炎への警戒心が薄かったことも昨日の下落幅を大きくしたと考えられます。

 

(注)直近日は日経平均株価が2月25日(10時23分現在)、その他の指数は2月24日。米国は17日が休日のため、前営業日の株価。NYダウ平均株価は米ドル、日経平均株価は円、その他はポイント。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
主要株価指数の騰落率 (注)直近日は日経平均株価が2月25日(10時23分現在)、その他の指数は2月24日。米国は17日が休日のため、前営業日の株価。NYダウ平均株価は米ドル、日経平均株価は円、その他はポイント。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

中国外で新型肺炎の感染が拡大中

中国は感染者数が減少し経済対策も

 

■昨日の相場調整は新型肺炎の感染が中国外の国・地域へ広がってきたことが要因です。特に、韓国、イタリア、イランで感染者数が急増しています。また、中東諸国でも感染が拡大しています。

 

■現時点では新型肺炎に対する治療法が確立しておらず、感染者数の増加を抑えるには患者の隔離が最も有効とされています。これが大規模に行われれば、経済活動が減速しかねず、株式市場への影響は避けられないとの見方が広がりました。

 

■なお、新型肺炎の発端となった中国では、湖北省の基準変更の影響を除くと、2月の初旬に新規感染者数の増加がピークを打った形になっています。また、中国政府は感染拡大の封じ込めの他、経済活動が極度に落ち込まないよう、財政政策と金融政策を積極的に活用する方針を明確にしています。今後、中国外でも、感染が拡大すれば、各国・地域で景気刺激政策が取られると見込まれます。

新型肺炎の拡大ペースと経済への影響を見極めるタイミング

 

■2002年から03年にかけて流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の例では、隔離によって収束が図られた結果、02年11月に発症した後、03年7月に終息しました。SARSは感染者の合計が約8,000人だったのに対し、今回の新型肺炎は既に感染者数がほぼその10倍となっている他、中国外での感染者数の拡大が加速しつつあります。一方、事態が深刻な故に各国の専門家が有効な治療法の確立に努めています。もし治療法が見つかれば、市場のセンチメントは大きく転換する可能性があります。

 

■今後は、中国で人の移動の制限が徐々に解除される中で感染者数が増加しないか、中国外での感染者数の拡大が加速しないか、治療法の確立が進むか等について注意をもって観察する必要があります。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新型肺炎の拡大懸念で急落した株式市場』を参照)。

 

 

(2020年2月25日)

 

関連マーケットレポート

2020年2月21日 新型肺炎の影響と新興国通貨の動向

2020年2月20日 アジア・トーク「新型ウイルスに直面した中国と企業債務」

あなたにオススメのセミナー

    【ご注意】
    ●当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
    ●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友DSアセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
    ●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
    ●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
    ●当資料は三井住友DSアセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
    ●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
    ●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

    人気記事ランキング

    • デイリー
    • 週間
    • 月間

    メルマガ会員登録者の
    ご案内

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    メルマガ登録
    会員向けセミナーの一覧
    TOPへ