上値の重い日本株式市場
新型肺炎の感染拡大の影響を懸念
■2月12日の日経平均株価は2万3,861.21円と2万4,000円を前に上値の重い展開となっています。12カ月先予想利益ベースの株価収益率(PER)は17.4倍ですが、現在の予想利益や長期金利の水準などを勘案すると、決して割高ではありません。現在上値が重いのは、1月後半から発生した新型コロナウイルスによる新型肺炎の感染拡大と世界経済及び企業業績に与える影響に対する懸念が背景です。
時間を要す業績回復期待
実質GDPはマイナス成長へ
■現在発表が進んでいる2019年10-12月期決算は、売上高が前年同期比▲2.7%、営業利益が同▲6.9%、経常利益が同+3.1%と、市場コンセンサスよりも下振れる見通しです(2月12日現在、東証1部(除く金融)3月期決算企業、QUICK集計)。また、新型肺炎は、1-3月期の実質GDP成長率を年率0.12%押し下げると試算されます。弊社では2019年10-12月期の実質GDP成長率が前期比年率▲4.0%、2020年1-3月期も新型肺炎の影響などで同▲0.3%とマイナス成長が続くと見ています。業績回復には時間がかかりそうです。
景気は4-6月期以降プラス成長へ。業績にも改善期待
■弊社では、新型肺炎は4-6月以降収束に向かうと見ており、2020年4-6月期の実質GDP成長率を同+1.9%、7-9月期を同+1.8%と予想します。昨年12月に決定した「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」(真水9.4兆円)の効果に加え、輸出環境の安定が見込めるためです。こうした見通しを踏まえ、業績の改善期待が高まり、株式市場は次第に堅調さを取り戻すと考えられます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新型コロナの影響を受け上値が重い日本株式市場』を参照)。
(2020年2月13日)
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