主要株価指数が史上最高値を更新
金利低下を背景に割高感はない
■米国株式市場は、中国発の新型肺炎の世界経済に与える影響が懸念されたことから1月末に一時調整しましたが、その後、堅調さをとりもどしました。NYダウは2月6日、S&P500種指数、NASDAQ総合指数は2月11日にそれぞれ最高値を更新しました。マクロ指標が堅調な中、2019年10-12月期の業績が上振れたことや、長期金利が低下したことが背景です。足元の12ヵ月先予想利益をベースにした株価収益率(PER)は18.9倍ですが、PERの逆数である益回りと長期金利の関係を見るイールド・スプレッドは▲3.7%と、2017年末から18年初頭にPERが18倍台となった局面と比較しても、割高感はありません。
上振れた10-12月期決算
昨年末の減益予想が増益に転換
■足元の株式市場を支えている要因の一つが堅調な企業業績です。2019年12月末段階で10-12月期の業績見通しは前年同期比▲0.3%とほとんど期待されていませんでした。決算発表がスタートし、2月11日現在で同+2.4%まで上振れました。また、市場のけん引役である「情報技術」も12月末段階で同+0.5%でしたが、足元では同+8.1%に上振れました。
年後半の業績改善に期待
■2020年は、四半期ベースでみると年後半にかけて2桁増益となる業種が増加する見通しです。「情報技術」も4四半期連続で2桁増益となる見通しとなりました。業績の改善見通しが市場を下支えすると期待されます。
■一方、年ベースでみると、「資本財・サービス」が昨年末予想の前年比+13.2%が同+6.4%へ、「素材」は同+13.8%が同+6.5%へと大きめの下方修正になりました。製造業の回復が緩やかなものになるとみられることや米中貿易摩擦や新型肺炎の影響など、業種別には下振れるリスクもあることから、業績を注意深く確認していく必要がありそうです。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国株式市場、低金利と好業績を背景に最高値を更新』を参照)。
(2020年2月12日)
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