豪中銀、新型コロナウイルス懸念にも「判断は時期尚早」と冷静

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豪経済は中国との関係が深いため、金融政策を運営する上で新型コロナウイルスの影響は避けられないと考えられます。そこで豪中銀の金融政策に加え、経済の現状分析に注目しました。ロウ総裁の5日のスピーチからは、豪中銀が新型コロナウイルスの経済への影響を判断するには時期尚早と、冷静な姿勢が示されました。

豪中央銀行:大規模森林火災や新型コロナウイルスの経済への懸念も、政策金利据え置き 

オーストラリア準備銀行(豪中央銀行)は2020年2月4日の理事会で、政策金利を過去最低水準の0.75%に据え置くと公表しました(図表1参照)。市場では据え置き予想が大半ながら、一部利下げも見込まれていました。

 

日次、期間:2019年2月5日~2020年2月5日(日本時間正午) 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]豪政策金利と豪ドル(対米ドル) の推移 日次、期間:2019年2月5日~2020年2月5日(日本時間正午)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

豪中銀のロウ総裁は、森林火災や中国で発生した新型コロナウイルスが豪経済に一時的に影響を及ぼすとの見方を示し、必要に応じて金融緩和を実施する構えを示しました。

どこに注目すべきか:新型コロナウイルス、森林火災、SARS、中国

豪経済は中国との関係が深いため、金融政策を運営する上で新型コロナウイルスの影響は避けられないと考えられます。そこで豪中銀の金融政策に加え、経済の現状分析に注目しました。ロウ総裁の5日のスピーチからは、豪中銀が新型コロナウイルスの経済への影響を判断するには時期尚早と、冷静な姿勢が示されました。

 

まず、豪経済の現状分析を振り返ると、豪中銀はGDP(国内総生産)成長率の緩やかな回復を見込んでおり、足元、成長予想を上方修正しています。例えば、19年11月の理事会では20年の成長率を2.25%と見込んでいましたが、今回の声明では20年の成長率予想を2.75%と見込んでいます。21年については3%と持続的な回復を予想しています。

 

豪中銀が資源国である同国の今後の景気回復を予想する背景は、米中貿易協議の進展や、世界各地での利下げにより世界経済が回復すると見込んでいるからです(図表2参照)。国内要因としては、高水準のインフラ投資なども下支え要因として指摘しています。

 

 四半期、期間:2014年1-3月期~2019年10-12月期、GDPは7-9月期迄 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]豪GDP(国内総生産)成長率とCPIトリム平均の推移 四半期、期間:2014年1-3月期~2019年10-12月期、GDPは7-9月期迄
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

なお、ロウ総裁はスピーチでオーストラリアの大規模な森林火災の影響についても言及しています。経済への影響は当初深刻ながら、復興需要や政府の支援なども考慮すれば、経済への影響は比較的抑制されたものとなる可能性を指摘、19年10-12月期から20年1-3月期にかけ0.2%程度の下押しと試算しています。

 

新型コロナウイルスは景気の不確実要因とロウ総裁は指摘しています。影響の全容を述べるには時期尚早として、02~03年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き合いに、影響についての考え方を示しました。SARSの場合、感染拡大のピークごろに中国経済は大幅に落ち込みましたが、その後急速に回復する経緯となっています。また、ロウ総裁は急回復の前には、感染拡大を抑制する措置がとられたことと、経済対策が本格化したことも指摘しています。

 

一方で、SARS当時と比べ、現在の中国は世界経済への関与が高まっています。したがって、03年頃の中国の悪影響と現在とでは、波及効果に違いがある点には注意が必要とも述べています。ロウ総裁は感染拡大のコントロールが今後の経済への影響を分析する上で重要と述べています。不確実性が高い中、金融政策については、必要ならば利下げも視野に入れた姿勢と見られます。

 

なお、5日には中国からの観光客が多いタイの金融政策会合があり、こちらの金融政策運営にも注目しています。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『豪中銀、新型コロナウイルス懸念にも「判断は時期尚早」と冷静』を参照)。

 

(2020年2月5日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

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