2019年12月のバイオ医薬品市場

投資のプロフェッショナルである機関投資家からも「こんな情報が欲しかった!」と評判のピクテ投信投資顧問株式会社のマーケット情報。専門家が明快に分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報を転載したものです。

バイオ医薬品関連企業の株価動向

12月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は上昇しました。

 

12月のバイオ医薬品セクターでは、M&A(合併・買収)が相次いだことやエリザベス・ウォーレン民主党米大統領選候補の支持率が低下したことに加え、治験や規制関連の好材料が株価の押し上げ要因となりました。

 

株価が大きく上昇した銘柄では、好材料が相次いだサレプタ・セラピューティクス(米国)、フェイト・セラピューティクス(米国)やプリンシピア・バイオファーマ(米国)が挙げられます。サレプタ・セラピューティクスは、米食品医薬品局(FDA)が2019年8月に承認を却下していたデュシエンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬ゴロディルセンを一転して承認したこと、競合するソリッド・バイオサイエンシズ(米国)のDMD治療薬候補が治験の差し止めを受けたこと、DMD遺伝子治療SRP-9001の米国国外販売権を巡ってロシュ(スイス)とライセンス契約を結んだことが好感されました。

 

フェイト・セラピューティクス(米国)は、急性骨髄性白血病(AML)治療薬候補の予想外に良好なフェーズ1治験結果を米国血液学会議(ASH)で発表しました。プリンシピア・バイオファーマは、米国血液学会議で再発/治療抵抗性(r/r)免疫性血小板減少症治療のためのブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤の追加治験について良好な結果を発表しました。また、提携しているサノフィ(フランス)は、同社との多発性硬化症治療薬の共同開発に対する楽観的な見通しに言及しました。

 

株価が下落した銘柄では、ジェンマブ(米国)、ニューロクライン・バイオサイエンシス(米国)が挙げられます。両社は良好な株価推移を受けて利益確定の売りに押されました。

 

2019年12月31日時点  ※為替レート:対顧客電信売買相場の仲値  ※PSR:2019年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出した株価売上高倍率  出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表1]バイオ医薬品株価指数(ナスダック・バイオテック指数)の推移 2019年12月31日時点
※為替レート:対顧客電信売買相場の仲値
※PSR:2019年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出した株価売上高倍率
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

米ドルベース、月次、期間:2009年12月~2019年12月 出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表2]ナスダック・バイオテック指数 米ドルベース、月次、期間:2009年12月~2019年12月
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

今後のバイオ医薬品市場見通し

現在、医薬品に関連する医療費の議論で重要な転換が起こっています。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。

 

医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。

 

最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。

 

株式市場の先行きには不透明感がありますが、そのような間でも、長期志向で、市場の非効率性に注目するアクティブ運用者にとっては、数多くの投資機会が存在するものと考えます。

 

※バイオ関連学会予定に掲載の学会の開催期間は変更、延期、中止されることがあります。  出所:各種資料を使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表3]今後のバイオ関連学会予定 ※バイオ関連学会予定に掲載の学会の開催期間は変更、延期、中止されることがあります。
出所:各種資料を使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

※赤色は、FDAまたはEMAにて承認された治療薬  ※ライセンス供与された治療薬も含みます  出所:各種資料を使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表4]注目のパイプライン ※赤色は、FDAまたはEMAにて承認された治療薬
※ライセンス供与された治療薬も含みます
出所:各種資料を使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

 

バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる

バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました(図表5参照)。

 

バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています(図表6参照)。

 

米ドルベース、期間:2001年12月~2019年12月 ※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、新興国企業:MSCI新興国株価指数構成銘柄  ※売上高は一株あたり売上高(指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出)  出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表5]売上高の推移 米ドルベース、期間:2001年12月~2019年12月
※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、
 新興国企業:MSCI新興国株価指数構成銘柄
※売上高は一株あたり売上高(指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出)
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

予想時点:2020年1月9日、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均 ※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、日本企業:TOPIXの構成銘柄、米国企業:S&P500種株価指数  出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表6]今後2年間の売上高伸び率(年率) 予想時点:2020年1月9日、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均
※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数、
 日本企業:TOPIXの構成銘柄、米国企業:S&P500種株価指数
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

売上高の伸びに沿って株価も上昇

過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります(図表7参照)。

 

期間:2006年12月~2018年12月(実績)、2019~21年(予想)  ※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数  ※一株あたり売上高は、指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出  ※2019年~2021年の一株あたり売上高は、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均  出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表7]バイオ医薬品関連企業の売上高と株価の推移 期間:2006年12月~2018年12月(実績)、2019~21年(予想)
※バイオ医薬品関連企業:ナスダック・バイオテック指数
※一株あたり売上高は、指数の値とPSR(株価売上高倍率)から算出
※2019年~2021年の一株あたり売上高は、ブルームバーグ集計アナリスト予想平均
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

バリュエーション

2011年以降、バイオ医薬品関連企業の株価が大きく上昇したことから、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)は高い水準にありましたが、足元では株価の調整を受け低下しています(図表8参照)。

 

米ドルベース、月次、期間:2003年12月~2019年12月  ※PSR:株価売上高倍率。2019年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出  出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成
[図表8]ナスダック・バイオテック指数とPSRの推移 米ドルベース、月次、期間:2003年12月~2019年12月
※PSR:株価売上高倍率。2019年1月末時点のナスダック・バイオテック指数構成銘柄を基に算出
出所:トムソン・ロイター・データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問株式会社作成

 

 

※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年12月のバイオ医薬品市場』を参照)。

 

 

(2020年1月24日)

 

 

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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