前回は、チャートから三つのシグナルを読み解き、買いの判断をするタイミングについて説明しました。今回は、買い注文の具体的な出し方などを見ていきます。

一定のパターンを確認した銘柄は翌日の寄り付きで勝負

「値上がり率ランキング」を賑わせた低位株は、翌日朝9時の寄り付き(市場が始まった最初の取引)から大きく上げてくることが頻繁に起こります。市場の開始から30分までは、市場参加者がさまざまな戦略を講じながら、激しく注文をぶつけ合う時間帯。朝イチから勢いがある銘柄は、投機筋が大口の買いを入れてきたシグナルかもしれません。

 

監視銘柄の中で「値上がり率ランキング」の上位に入り、なおかつ出来高の急増と陽線の長いローソク足が確認できたら、迷わず翌日朝9時の寄り付きで素早く勝負を決めましょう。一定のパターンが確認できた銘柄は、とにかく買いのタイミングを逃してはいけません。株価に勢いがあるうちに飛び乗り、スピーディに買い注文を約定させるには、筆者は成行注文がベストだと考えています。

 

株を売買するときの注文方法は、大きく分けて「指値注文」と「成行注文」の二つがあります。指値注文とは、買いまたは売りの値段を指定して注文する方法です。

 

例えば、200円で買いの指値注文を出すと、株価が200円以下になるまで注文は成立しません。そのため、取引時間中に相場を見ることができない人の場合、前日の晩に200円で買いの指値注文を出しても、翌日は201円で寄り付き、そこから一気に上昇相場に入ってしまった・・・ということがよく起こるのです。たった数円の差で買い注文が約定できないという、なんとももったいない状況は極力避けていただきたいのです。

 

中長期投資が前提であれば、翌日にまた買いの指値注文を出し直せばいいのですが、タイミングが命となる「低位株」投資では、そう悠長なことは言っていられません。そこで、早めに決着をつけるために有効となるのが成行注文です。成行注文とは、買いまたは売りの値段を指定しないで注文する方法です。そのため、成行注文を出すと、すぐに売買が成立するため、確実に収益チャンスをとらえることができます。

取引開始前の板情報で買い注文の最終決定を下す

ただし、成行注文には一つデメリットがあります。相場状況によっては、想定していた価格よりも高い価格で買い注文が約定する恐れがある点です。

 

例えばこんなケースが考えられます。市場の開始から20分くらいまでなかなか値段が付かないときは、買い注文だけで売り注文が出ない「買い気配」のときです。どんどん価格が釣り上がっていき、最初に成立した価格がストップ高付近になってしまった場合、前日よりもかなり高い価格で買い注文が成立してしまうことがあります。

 

右肩上がりで上昇相場が続きそうな場合は、もたついて収益チャンスを逃すよりも多少高値でも約定したほうがいい、というのが筆者の基本的な考えです。しかし、余裕資金が少ない人やリスクを少なめに取っている人は、このような事態を避けたいと思うでしょう。そうした場合は、スマートフォンなどで相場をチェックできる環境にあるなら、市場が始まる前に少しでも板情報(株の注文状況を表すもの。売買注文がどの値段で、どのくらい出ているかが分かる)を見ておくと安心です。

 

寄り付き前の板情報は、朝9時からの取引に備えて午前8時20分ごろから表示されます。しばらく板情報をウォッチして、前日の終値よりもかなり高い価格で約定しそうなら、買い注文をキャンセルして買いを見送るか、指値注文に切り替えるべきです。

 

また、先程の例のように、キリのいい価格には注文が多く集まり、約定しにくい傾向があります。そのため、201円や202円など、キリのいい価格よりも少し高めの値段で指値注文を出したほうが約定する確率は高くなります。

本連載は、2015年12月10日刊行の書籍『初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法

初心者でもがっぽり儲かる大化け「低位株」投資法

紫垣 英昭

幻冬舎メディアコンサルティング

アベノミクス効果や日銀の金融緩和により、賑わいをみせている日本の株式市場。昨年からはじまったNISAに続き、ジュニアNISAの創設や教育資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の延長など、若年層にむけての資産形成支援も充実…

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