原油価格は緩やかに上昇
協調減産延長を織り込む動き
■北米の代表的な原油価格であるWTIは、11月は月を通じて緩やかな上昇傾向を辿っています。
■米中通商協議に対する不透明感から下落する場面もありましたが、12月開催予定の石油輸出国機構(OPEC)総会と非加盟産油国を含むOPECプラスにおいて、2020年半ばまで協調減産を延長する公算が高いとの報道を背景に緩やかに上昇しました。
OPEC産油量は回復
サウジアラビアの供給が回復
■11月14日に公表されたOPEC月報の11月号によると、10月のOPEC加盟国の原油生産量は前月から増加しました。日量で前月比+94万バレルとなる2,965万バレルとなりました。
■石油施設への攻撃から減産を余儀なくされていたサウジアラビアの生産が概ね回復したことが背景です。
■2019年の世界の原油需要は日量9,980万バレルと予想されており、需給の均衡にはOPEC加盟国で3,071万バレルの供給が必要と見られます。原油生産量が現状程度で推移すれば2019年は需要が供給をやや上回りそうです。
来年の供給過多を見込み協調減産の延長がはかられよう
■米中通商協議は部分合意に至ったと報じられたものの、足元、先行き不透明感が残っており、世界的な景気減速懸念が需要見通しの重石となっています。原油は2020年には非加盟産油国の増産が見込まれており、12月のOPEC総会、非加盟産油国を含むOPECプラスにおいて、2020年半ばまで協調減産を延長することが決定される見通しです。
■当面の原油価格については、OPEC総会に向けて協調減産延長の織り込みが進むと見られます。また、需要見通しに大きく影響する米中通商協議の行方も注視する必要があります。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『原油価格は緩やかに上昇…2019年11月』を参照)。
(2019年11月28日)
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