流入超過額は再び1,000億ドル超と高水準
■10月の投信マネーは全体で+1,028億ドル(前月+956億ドル)と引き続き高水準の流入超でした。「MMF」が+643億ドル(同+546億ドル)、「債券」が+503億ドル(同+326億ドル)と、ともに流入超過額が拡大しました。一方、「株式」は▲144億ドル(同+32億ドル)と流出超になりました。
株式ファンドの流出超は「米国」がほとんどを占める
■株式ファンドを国・地域別に見ると、「米国」が▲112億ドル(同+189億ドル)と株式ファンド全体の流出超過額の8割弱を占めました。10月は米中協議が進展したことで、投資家心理が好転しましたが、株式ファンドは利益確定の動きから流出額が拡大したと思われます。「欧州」は▲33億ドル(同▲34億ドル)、新興国は▲42億ドル(同▲83億ドル)でした。「アジア(日本を含む)」は+15億ドル(同▲46億ドル)でした。
■債券ファンドは、「先進国」が+492億ドル(同+304億ドル)と10カ月連続の流入超です。中心は「米国」で+323億ドル(同+223億ドル)です。国債や地方債に投資するファンドが中心ですが、投資適格社債やハイ・イールド社債に投資するファンドも流入超の傾向が続いています。
株式ファンドの資金流出が底打ちとなるかに注目
■11月は第2週までの合計で、株式ファンドが+264億ドルの流入超です。特徴は、先進国全体の株式に投資する「グローバル」が+127億ドルとなったことです。米中対立は、部分合意の可能性が高まり、12月15日の追加関税の賦課も延期され、追加関税の応酬を通じたマイナス影響のさらなる拡大が回避されれば、来年に向け世界経済は緩やかな回復となる可能性がさらに高まります。流動性が潤沢で、長期金利が低位で推移する中、債券ファンド中心の流入超過基調に大きな変化は見られないかもしれませんが、グローバル景気が回復するとの期待を背景に、「MMF」から「株式」へ資金がシフトする可能性はあります。株式ファンドの資金流出超が底打ちとなるかが注目されます。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『投信マネー、株式ファンドの流出が底打ちとなるか?』を参照)。
(2019年11月15日)
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