中国の弱い統計や香港のデモ激化から株価調整
台湾、韓国は総じて堅調
■アジア株価指数(MSCI AC アジア(除く日本))は、米中貿易摩擦のグローバル及びアジア経済への影響から上値の重い展開でしたが、8月以降、値を戻しつつあります。なかでも台湾市場がけん引役で、韓国も8月まで下押し圧力となっていましたが、9月以降は急速に値を戻しました。
■アジア株価指数は11月上旬で一旦頭打ちとなりました。これまで進展が期待された米中貿易交渉の部分合意にやや不透明感が増してきたことや、株価上昇のスピード調整などが背景と考えられます。加えて、中国の弱い経済指標や香港でのデモ激化への懸念が株価の下押し圧力となりました。
予想利益は概ね好調
香港の悪化傾向が続く
■米中交渉の進展期待から水準修正が進んだアジア株価指数ですが、企業業績も回復傾向となっています。中国、台湾は堅調に推移する一方、韓国、インドは9月以降業績予想が底打ちしました。主要セクターを見ると、「情報技術」の業績見通しが9月を底に改善する方向にあり、引き続きけん引役として期待されます。
■悪化傾向が続いているのは香港です。香港の主要セクターは「金融」と「不動産」ですが、アジア株価指数ベースで見るとどちらの業績も足元では堅調です。ただ、香港デモは一段と過激化する方向にあり、これらセクターへの影響が懸念されます。
米中交渉の進展などが待たれる
■グローバル景気の回復に対する期待が高まる中、アジアでも「情報技術」の業績、株価が堅調に推移するなど、プラスの影響が確認されます。株価上昇のための下地は整いつつあると思われ、今後は、米中の部分合意の妥結、香港デモの収束などによって、センチメントの改善を待つ必要がありそうです。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米中交渉の進展が待たれるアジア株式市場』を参照)。
(2019年11月19日)
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