原油価格は横ばい圏で推移
景気減速と減産拡大への思惑が背景
■北米の代表的な原油価格であるWTIは、10月は月を通じて概ね横ばい圏で推移しています。
■米中協議への懸念などから軟調に推移した後、月後半は、主要産油国が12月開催予定の石油輸出国機構(OPEC)総会で協調減産の拡大を検討するとの報道を背景に上昇しました。
OPEC産油量は減少
需給は引き締まりを見込む
■10月10日に公表されたOPEC月報の10月号によると、OPEC加盟国の原油生産量は減少傾向にあります。9月の生産量は日量で前月比▲132万バレルとなる2,849万バレルでした。
■サウジアラビア(サウジ)の石油施設に対する攻撃の影響が出ていると見られます。ただしこの影響は一時的で、10月には供給が多少は戻ると見られます。
■2019年の世界の原油需要は日量9,980万バレルと予想されており、需給の均衡にはOPEC加盟国で3,073万バレルの供給が必要と見られます。サウジの生産が回復し、OPECの原油生産量が8月の2,981万バレル程度で推移するとすれば、2019年は需要が供給をやや上回りそうです。
景気減速懸念と協調減産拡大に対する思惑に左右される展開か
■米中協議は部分合意に至り、先行き不透明感は残るものの一旦落ち着きを見せていますが、世界的な景気減速懸念が需要見通しの重石となっています。一方で、12月のOPEC総会では、OPECと非加盟産油国で構成するOPECプラスで協調減産の拡大が検討される見通しとなっており、原油価格を下支えしています。
■当面、原油価格は経済指標と協調減産拡大への思惑に左右される展開が見込まれます。加えて、イランと米国の対立など中東情勢も注視する必要があります。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『原油価格は横ばい圏で推移、景気減速と減産拡大への思惑が背景』を参照)。
(2019年10月30日)
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