娘を社長にさせるなら、どの「大学」に進学させるべきか?

少子化の影響もあり、中小企業を中心に後継ぎ問題が深刻だ。そのような中、後継者として娘を推す経営者も増えている。その土台となる息女の教育をどのように考えればいいのか。教育に関連するデータから考えていく。

女性の「大学進学率」は高い日本だが…

文部科学省によると、大学・短期大学の進学率は54.67%。2000年代初頭は約50%であり、大きな伸びはないものの上昇傾向にある。この数値は、世界的に見ても高水準だといえる。

 

経済協力機構(OECD)では、定量的で国際比較が可能な教育データ「図表でみる教育(Education at a Glance)OECDインディケータ」を毎年公表しているが、その最新の報告によると、日本は、若年齢層の高等教育修了率が最も高い国のひとつに数えられる。

 

※ここでいう高等教育とは、日本では、学校教育法第1条に定められる学校(一条校)のうち、後期中等教育に続く上位の学校種で実施される教育のことで、具体的には大学・高等専門学校で行われる教育を指す。

 

2017年時点で、25~34歳人口の60%が高等教育を修了しており、これはOECD加盟国の中で2番目に高い。高等教育修了率は、男性59%に対し女性は62%と、女性が若干上回る。

 

女性は高等教育修了率で男性を上回る一方で、短期高等教育課程に在学する傾向が強く、2016年時点で、短期課程在学者の割合は初回入学の女性の43%が短期課程を選んでいる(OECD加盟国平均は16%)。これは、専攻分野の選択に起因すると推測され、同課程新入学者のほぼ半数が、女性に人気のある分野である、「保健・福祉」を専攻している。

 

女性が短期課程を選ぶ傾向が強い一方で、当然、高等教育の上位課程に在学する傾向は弱い。OECD加盟国平均75%に対し、日本の場合、女性が学士課程に在学する割合は55%(男性は70%)となっている。また博士課程新入学者に占める女性の割合も、2016年時点で31%と、OECD加盟国の中で最も低いという結果になっている。

 

調査年は2015年。左から順に、博士課程または同等の学位プログラム新入学者に占める女性の割合が大きい国( 2016 年時)出所:OECD/UIS/Eurostat (2018)
[図表1]博士課程における女性新入学者の割合 (2005年、2010年、2016年) 調査年は2015年。左から順に、博士課程または同等の学位プログラム新入学者に占める女性の割合が大きい国( 2016 年時)出所:OECD/UIS/Eurostat (2018)

 

このデータを見てみると、世界と比べて、日本の女性はまだまだ上位課程の教育を受けられていない現状が浮き彫りになっているが、就業面まで見ていくと、確実に女性の躍進が見えてくる。

 

同レポートでは、日本において高等教育を修了した女性の就業率の推移について言及しているが、過去10年で11%上昇しており、2017年時点で79%、OECD平均80%と同程度だという。同時期にOECD加盟国の半数以上が女性の就業率は下がっており、日本における女性の就業率の伸びは極めて大きいと言えるだろう。

 

なぜ、日本で高等教育を修了した女性の就業率が躍進しているのか。それは女性の労働市場への参画と積極的な登用を奨励することで経済成長を促す施策「ウーマノミクス」の存在が大きいと考えられる。

 

今後、女性の就業率の向上により、高等教育においても上位課程を選択する女性が増えていくことは大いに考えられる。

 

女性の就業率は上昇し続けている
女性の就業率は上昇し続けている

女性社長の輩出では「女子大学」が健闘

このように近年、日本において女性を取り巻く教育・就業環境は、大きく変化している。そのことは、女性経営者の数においても顕著に表れている。

 

帝国データバンクの調べによると、現在、女性経営者の割合は7.9%で、平成の世が始まったころから、3.6%も増えているという。また就任経緯は、「同族承継」が半数以上を占め、突出して高い。続いて起業が約35%と多く、内部昇格が約8%と男性と比較して半分に留まるという。少子化進む日本において、中小企業を中心に後継ぎ問題は深刻だ。そのなかで、女性に未来を託すケースは増えていくと推測される。

 

また、業種別に見てみると、「不動産業」が最高で16.7%。「小売業」「サービス業」と続く。さらに業種細分類別に見てみると、「保育所」が最高で42.3%、以下「化粧品小売業」の35%強、「美容業」33%強、「各種学校」30%強と続く。育児や介護といった、生活に密着した業種、美容など女性をターゲットにした業種では、女性社長の割合が高くなる。

 

2015年施行の「女性活躍推進法」など、女性の活躍が重要政策に掲げられるなど、女性の社会進出が急激に増えているが、後継者問題においても、女性に会社の未来を託すケースが多くなるだろう。

 

このような女性社長だが、どのような大学を出ているのか。同じく帝国データバンクによると、女性社長の出身大学で最も多いのが「慶應義塾大学」で230人。以下、「日本大学」で225人、「早稲田大学」で214人、「青山学院大学」が171人と続く。首都圏にキャンパスがあり、学生数が多い大学が上位を占めるという結果だ。

 

やはり規模が大きい=卒業生が多い大学のほうが、社長の輩出する数は当然多くなるが、これを割合で考えていくと、違う見え方ができる。

 

ランキング第5位の「日本女子大学」の女性社長数は、167人。それに対して卒業生は2018年度で1,520人。一方、ランキング第1位の「慶應義塾大学」の卒業生は8,165人で、そのうち女性の割合が35%弱。数ではなく、割合で考えると、「日本女子大学」の強さが際立ってくる。

 

同様に、第9位「共立女子大学」(119人)、第12位「聖心女子大学」(96人)、第14位「甲南女子大学」(81人)と、ランキングに登場する女子大学は、毎年の卒業生が1,000人前後。やはり数ではなく割合でみると、社長の輩出力は学生数の多いマンモス大学に比べて強いといえるだろう。

 

長らく男性上位であった日本において、女子大学の果たしてきた役割は大きい。その多くが、女性の社会地位の向上、自立した女性女性としての教養の習得を目指し、良家の子女用の教養型大学として機能。初等教育の段階から高等な教育を提供してきた。女性社長の出身大学で女子大学が多いのは、当然の結果なのだろう。

 

昨今、女性らしい新たな目線で企業改革を遂行する女性社長がクローズアップされている。男女共同参画などの影響で一部の女子大学は存続が危ぶまれているが、女性にこだわった教育がされる女子大学からは、これからも優秀な社長が登場するだろう。「将来、我が娘は後継ぎに」と考えている企業経営者は、ご息女の進学候補の1つとして一考してみてはどうだろうか。

 

GGOとは、GENTOSHA GOLD ONLINE(幻冬舎ゴールドオンライン)の略称。『あなたの財産を「守る」「増やす」「残す」ための総合情報サイト』を掲げ、企業オーナー・富裕層を主要読者ターゲットとして運営している(写真は編集長の立本正樹)。

著者紹介

連載データから紐解く「教育の実情」

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