株式市場は法人税減税を受け急上昇
■9月のインド株式市場は景気減速観測や原油高が上値を抑える一方、 政府による追加の景気刺激策への期待が下支えし、もみあいが続いていました。しかし、政府が20日に大幅な法人税減税を発表したことを受けて、企業収益の改善や景気の回復期待から急上昇しました。代表的な株式指数であるSENSEX指数は、19日の引け値から2営業日で、8.3%高となりました(23日時点)。法人税減税の恩恵を大きく受ける金融や製造業の銘柄がSENSEX指数の上昇をけん引しました。
インド政府は大幅な法人税減税を発表
■インドのシタラマン財務相は20日、景気浮揚に向けた追加の景気刺激策として、1兆4,500億ルピー(約2.2兆円)規模の法人税減税を発表しました。今年度から法人税率を30%から22%へ引き下げると共に、最低代替税率を18.5%から15%へ引き下げることを決めました。また、10月以降に設立した製造業に対しては法人税率を15%とするなど、景気減速が鮮明になるなか、製造業での投資を活発化させる措置を打ち出しました。
企業収益改善と景気回復に期待
■政府が発表した法人税減税は期初にさかのぼって適用されるため、今年度を含め企業収益の改善が期待できます。市場参加者の間では7~8%程度の企業収益の押し上げが見込まれています。また、法人税率引き下げが、中期的に国内外の投資を呼び込み、景気の回復にもつながると考えられます。さらに、これまで景気減速や企業収益の伸び悩みなどを嫌気して続いていた外国人投資家による株式の売り越しも収まると期待されます。今回の法人税減税は、株式市場への資金流入の契機となる可能性があります。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『インド株式市場は急上昇(2019年9月後半)』を参照)。
(2019年9月24日)
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