ひとまず追加利下げを織り込む
米中閣僚級協議開催期待が支え
■米国株式市場は、9月18日に米連邦準備制度理事会(FRB)の0.25%の追加利下げと今後の追加緩和の可能性をひとまず織り込みました。当面は、10月初旬に開催される米中閣僚級協議の内容が合意に向け一歩前進するとの期待が引き続き支えとなる見通しです。
「情報技術」が堅調
グローバルな需要を取り込む
■S&P500種指数は年初来9月19日までで+19.9%の上昇です。セクター別に見ると「情報技術」が+31.1%、「不動産」が+26.6%、「コミュニケーション・サービス」が+23.5%、「一般消費財・サービス」が+22.8%と好調です。「不動産」は米中貿易摩擦の影響を受けにくく、「コミュニケーション・サービス」や「一般消費財・サービス」は好調な米国の消費によって支えられていると考えられます。米国株式市場の売上高の地域別構成比を見ると米国が62%を占めていることからも窺えます。一方、「情報技術」は、米国は44%に過ぎず、アジアが30%(中国14%)、欧州が16%を占めるなどグローバル展開が大きな特徴です。米国内の堅調な需要に加え、アジア・中国やその他グローバルな需要も取り込んでいると思われます。
引き続き「情報技術」が牽引役となり堅調な推移を見込む
■米中交渉は今後大きなヤマ場を迎えると考えられます。不透明感は依然として残りますが、金融政策に対する信認が強く、極端な下振れリスクは回避されると考えられます。
■加えて、「情報技術」が引き続きけん引役になると思われます。「情報技術」には半導体製造装置等が含まれますが、ソフトウエア・サービスのウエイトが高く、その半分以上を占めます。こうした企業はネットワーク経由のサービス(クラウドサービス)やペーパーレス化に必要なソフトウエアなどを提供しています。総じて米中摩擦の影響を受けにくく、成長が期待されています。「情報技術」の売上高及び利益の伸び率は2019年を底に2020年以降回復する見通しです。2020年は半導体サイクルの改善などハード面での回復も期待されています。米国株式市場は、引き続き米中交渉に注意を払う必要はあるものの、総じて堅調な推移が見込まれます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『グローバルな需要を取り込む「情報技術」が牽引』を参照)。
(2019年9月20日)
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