物件選びで失敗すると出口も決まらない
任売物件といえども、すべてが「掘り出し物」というわけではありません。なかには「安かろう悪かろう」の物件が含まれていることも少なくありません。「割安感がある」「駅に近い」からといって、それだけのメリットで物件を決めてしまっては、失敗してしまう可能性もあります。
そこで重要になってくるのが「物件選び」ということになるわけですが、任売物件の場合は通常の物件選びで注意しなければならない点に加えて、権利関係に「傷」があるワケあり商品です。その点についても、きちんとクリアにしておかなければいけないことがあります。
不動産投資では、出口戦略が大切と指摘しましたが、物件選びはまさに「入口」戦略に相当するものです。入口で失敗してしまうと出口が決まらない、と言っても過言ではないかもしれません。ただし、任売物件では物件数なども限られているために「駅から近い」とか「大規模開発の団地内がいい」、あるいは「築年数がまだ新しい」といった一般的な不動産選びのポイントというのは、あまり役に立ちそうもありません。
任売物件では転売しやすい物件を探すことが重要
任売物件のような割安感のある物件を選ぶ場合には、とくに注意が必要で、ただ単に安いというだけで飛びついてしまっては失敗してしまうかもしれません。たとえば、任売物件の多くはすでに前の所有者が住み続けるよう希望するケースが多い物件ですから、投資金額に対して賃貸料収入がいくらあるのかを示す「表面利回り」が分かります。
投資用不動産の投資では、この利回りが重要な指標になりますが、これが周囲の物件の平均的な水準に比べて低すぎる場合には、転売するときに難しくなってしまいます。いわゆる「出口戦略」が立てられない物件といっていいかもしれません。
さらに、言うまでもありませんが、任売物件の中にはリゾート物件とか人口が減少している田舎の物件もあるわけです。これらの物件も、簡単に転売できる物件とはいいがたいものがあります。また、違法建築のような物件は、銀行がローンの融資をしてくれません。そんな物件も販売されているものの中には当然含まれています。
要するに、物件を購入する時点で、転売できるかどうか、出口戦略を立てられる物件であるかどうか判断することが、任売物件選びの最大のポイントと言っていいでしょう。言い換えれば、出口戦略の立てやすい物件、すなわち転売しやすい物件を探すことが重要になってくるということです。
出口戦略を考えるということは、要するに転売時期を考えることと同じですから、5年後なのか、10年後なのか、出口に至るまでの時間的なプロセスも含めて、物件選びをする必要があるということです。