サウジの石油施設が炎上
世界の約5%相当の原油生産が停止
■9月14日にサウジアラビアの石油関連施設2カ所が攻撃を受け炎上し、原油の生産が停止しました。サウジアラビア政府によると、この被害を受けた原油の生産停止量は日量570万バレルで、サウジアラビアの通常の生産量の約半分に及びます。
■サウジアラビアは世界有数の産油国で、世界の原油供給の約1割を占めます。今回の攻撃で世界の原油生産の約5%に相当する量の生産が止まったことになります。
世界の原油需給はひっ迫へ
生産停止が長期化すると影響大
■原油市場では需要/供給バランスのわずかなずれが価格の変動につながります。世界の約5%に相当する原油生産の停止は、原油市場にとって極めて重大なイベントと考えられます。
■また、攻撃前の時点でも、石油輸出国機構(OPEC)加盟国および非加盟国の主要産油国の協調減産により、石油の需給が引き締まると見込まれていたため、今回の生産停止の影響は大きくなる可能性があります。特に生産停止が長期化する場合、その影響は一層大きくなります。現時点では、被害を受けた生産の半分を回復するのに数週間から数カ月を要するとの報道もあります。
中東の地政学的リスクが顕在化
■今回の攻撃は中東の地政学的リスクの顕在化といえます。16日の金融市場は、原油価格が大幅に上昇する中、リスク回避の動きが強まり、米国株式(NYダウ指数)は前日比▲0.5%の27,076.82ドルで引けました。
■また、イエメンの武装勢力が攻撃を実行したと主張していますが、米国はイランの主体的な関与を示唆しています。今後、米・サウジ側が報復として軍事行動をとる可能性もあり、中東は地政学的リスクが高まっています。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『原油価格は大幅上昇、海外株式はリスク回避で下落』を参照)。
(2019年9月17日)
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