3年半ぶりに利下げ
量的緩和を11月から再開
■欧州中央銀行(ECB)は12日の理事会で、利下げや量的緩和などのパッケージで金融緩和を決定しました。中銀預金金利(銀行がECBに余剰資金を預ける際の金利)を▲0.4%から▲0.5%へ3年半ぶりに引き下げました。また、昨年末に打ち切った、様々な資産を購入して資金供給を行う量的緩和政策を11月から再開することを決めました。さらに、フォワードガイダンス(先行きの金融政策の指針)において、政策金利を現状か、より低い水準に据え置く期間を「少なくとも2020年前半まで」から「物価目標の実現がしっかりと見通せるまで」に変更しました。その他、マイナス金利の副作用の軽減策や銀行への資金供給策の条件緩和も打ち出しました。
超緩和政策は長期化見込み
■ECBがマイナス金利の深堀りをはじめとするパッケージで金融緩和に踏み切った背景には、ユーロ圏経済の低迷に加えて、米中貿易摩擦の激化や英国の欧州連合(EU)離脱の影響で先行きの不透明感が高まっていることがあります。ドラギ総裁は記者会見で、「当面極めて緩和的な政策が必要になる」と述べており、超金融緩和策は長期化しそうです。
世界的な金融緩和が景気や金融市場を支えよう
■世界経済の減速傾向が鮮明となるなか、米中貿易摩擦や英国のEU離脱などの不確実性が強まっていることで、世界の中央銀行は金融緩和に舵を切っています。ECBに続いて、米連邦準備制度理事会(FRB)も17~18日の次回会合で追加利下げを決定すると予想されます。また、トルコ中央銀行が12日、2会合連続の利下げを決めるなど、新興国の中央銀行も追随する動きが明らかです。世界的な金融緩和局面入りで、減速している景気は支えられ、金融市場はリスク選好に傾きやすくなるとみられます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『マイナス金利深堀りや量的緩和などパッケージ』を参照)。
(2019年9月13日)
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