鉱工業生産が更に鈍化
小売売上高も鈍化
■中国国家統計局は16日、主要経済指標を発表しました。8月の鉱工業生産は前年同月比+4.4%と市場予想の同+5.2%を下回り、7月(同+4.8%)から伸び率が更に縮小しました。携帯端末や産業用ロボットの生産量がマイナスになるなど、米中貿易摩擦の影響で製造業の不振が続いています。
■8月の小売売上高も前年同月比+7.5%と、市場予想の同+7.9%を下回り、7月(同+7.6%)から小幅に鈍化しました。自動車や宝飾品など高額品の販売がマイナスでした。
固定資産投資も減速
民間投資の伸びが更に鈍化
■1~8月の固定資産投資は前年同期比+5.5%と、市場予想の同+5.7%を下回り、前月の1~7月(同+5.7%)から減速しました。
■固定資産投資の内訳をみると、インフラ投資は前月から伸びたものの、全体の減速に歯止めがかかっていません。約6割を占める民間投資が同+4.9%と、前月(同+5.4%)から伸びが更に鈍化しました。米中貿易摩擦の激化が引き続き民間企業の投資を抑制しているとみられます。
米中閣僚級協議での歩み寄りに注目
■国家統計局は「国際環境の不確定要素は明らかに増加している。国内市場を強化し、経済の健全な発展を確保する必要がある」と強調しました。中国政府は、19年の成長率目標「6.0~6.5%」の達成に向けて景気対策を拡大し、景気失速を回避させるとみられます。
■こうしたなか、米国が対中制裁関税の税率引き上げの先送りを表明する一方、中国は米農産品の新規購入に動くなど両国は歩み寄りを見せています。10月に予定される米中閣僚級協議が注目されます。
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(2019年9月17日)
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