豪リート市場は堅調に推移
円ベースでは下落
■オーストラリアのリート市場は、豪州準備銀行(RBA) の利下げが支援材料となり、7月末比で+0.7%と概ね堅調に推移しています(現地通貨ベース、8月28日時点)。一方、8月に入り米中対立への懸念が一段と高まったことや、RBAの利下げを受けて円高が進行したことから、円ベースでは同▲4.0%と下落しています。
■世界的な低金利環境が続く中、RBAは6、7月と2カ月連続で政策金利を引き下げました。また、経済情勢次第での追加利下げにも含みを持たせており、オーストラリアの10年国債利回りは28日時点で0.89%まで低下しています。一方、リートの配当利回りは7月時点で4.4%と魅力的な水準となっています。
住宅価格は底値圏か
物流・オフィスは好調
■住宅ローン貸し出し基準の厳格化などが下落要因となり調整が続いていた住宅価格は、シドニー、メルボルンなどで下落幅の拡大が止まりつつあるなど、足元で底入れの兆しが見られます。
■政府は、景気刺激策として所得税減税や、住宅購入支援策として住宅ローン貸し出し基準の緩和を打ち出しており、初回購入者を中心とした住宅ローンの借り入れ拡大が今後期待されます。また、物流やオフィス市況は好調で、賃料は緩やかな上昇基調が続いています。
低金利環境が引き続き支援材料となろう
■米中対立の激化により世界経済の先行きが不透明感を増す中、オーストラリア経済は政府の所得税減税などの景気刺激策や、RBAによる利下げなどが下支えとなりそうです。利下げや世界的な低金利環境が続くと見られるほか、景気刺激策効果が徐々に個人消費の増加を通じてリートの収益にも好影響を与えることが期待されることから、リート市場は堅調に推移すると見られます。また、足元の豪ドルの下落基調にも一巡感が出ています。
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(2019年8月29日)
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